
60年以上の歴史を支える修繕計画
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60年以上の歴史を支える修繕計画
鋸山ロープウェーは、奇岩・名勝の地として知られる千葉県の鋸山にアクセスするロープウェーで、全長 : 680 m、高低差 : 223 m、傾斜:約28度、山麓駅と山頂駅の2駅を定員 : 41名のスイス製のゴンドラで約 4分で結びます。山頂駅からは大パノラマが広がり、目の前には東京湾、三浦半島、また目を移せば富士山も見渡すことができるロケーションにあります。
1962年の開業から60年以上が経ち施設の老朽化が進む中、竣工当時からの法改正や資金面などから駅舎の増改築や大規模改修は厳しい状況にあります。そのため、既存の施設を継続使用していくためには駅舎を健全な状況に保つことが大変重要となります。海岸の近くにあることから塩害による鉄の腐食が起きやすく、また山頂は遮蔽物が無いことから強風や日差しの影響を受けやすいなど、駅舎の構造体や仕上げが劣化しやすい過酷な立地環境に置かれる中で、山麓と山頂にある駅舎をどのようにして健全に保っていくかを考える必要がありました。
本業務は山麓駅と山頂駅の2駅を維持管理していくうえで、今後10年間でどのような修繕工事が必要となるか、それにどの程度の費用が必要となるかを鋸山ロープウェー株式会社様から相談を受け実施した業務です。
山麓駅
山頂駅
始めに駅舎の状況を把握するため紙の設計図を手に予備調査を実施しました。その結果を基に2駅の平面図・立面図・断面図・仕上表および構造一般図をCADにて図面化し、建設当時からの変更箇所を現在の状況に整合させました。次にこの図面に劣化状況などを記載しながら意匠・構造・電気設備・機械設備の4つの分野で2日間にわたる本調査を行いました。特に、構造の調査では、当初は目視・触診・打診および鉄筋探査のメニューを予定していましたが、海に近い立地であることから、コンクリート構造体の塩害がどの程度進んでいるかを確認する必要があると判断し、塩化物量調査と鉄筋の被り調査を追加で実施しました。これにより詳細なデータを用いた修繕方法・修善時期の提案が可能となりました。
修繕箇所についてはこれらの調査で抽出された劣化部位に対して3段階のマトリクス評価を行い、修繕の優先度を明確にしたのち、それらの部位に対して複数の修繕方法から今後の修繕周期や修繕コストの平準化などを加味しながら時期を調整するなど、最適な方法と時期を導き出しました。
重要度評価フロー
健全度評価
プロジェクト詳細