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100年前の技術者の思いを紡ぐ歴史ロマン
森村橋は明治39年に竣工した鋼単純下路式曲弦プラットトラス橋(ピン結合)とよばれる形式の橋梁で、鉄道トラスが国産化され始めた明治期に製作された数少ない現存する国産トラス橋の1 つです。国の登録有形文化財に指定されており、土木遺産「鉄の橋百選」にも選定されています。 森村橋は元々、民間の紡績工場の引き込み線の鉄道橋として建設されましたが、近代では自治体に移管され道路橋として活用されていました。建設から110年以上が経過しており、何度かの改修を経て奇跡的に現存していましたが、本格的な改築が必要な時期を迎えていました。 本プロジェクトは、改築に伴ってできるだけ建設当初の姿を復原しようと試みたものです。数少ない当時の設計資料から現在の技術基準に適合するように構造設計を行うとともに、アールデコ調の装飾類も復原設計しました。残念ながら各点部分の腐食が激しく、部分的に新規材料に取り換えが必要であったため、一度解体した上で、工場内で組み換え作業を行い、現地で再構築するという大規模な改修工事となりました。
復元前の森村橋
ライトアップ実験も行いました
森村橋は元々民間企業の橋梁であったために、地元自治体では設計に関する図書を殆ど保有しておりませんでした。そのため、まずは関連する資料-100年以上前の当初設計から現在に至るまでの改修の記録-を収集し、当時の設計思想・設計条件を推測し再現計算を行う必要がありました。 しかし、十分な資料が揃わず改修の履歴を読み解く作業は困難を極めました。中でも塗装に関しては様々な科学的手法を用いて分析を試みました。その結果として、50年ほど前に我が国初めてのジンキー(亜鉛メッキ)による橋梁塗装が森村橋で試験的に使われたことを明らかにするなど、歴史的な大発見に繋がりました。 本プロジェクトでは、断片的にしか残されていない資料と橋梁の現況をつなぎ合わせ、施工当時の姿と改修履歴を解き明かすことで、100年以上も前の技術者の森村橋にかける強い思いを感じ、結果として土木遺産の復元に努めた文化的にも価値のあるものとなりました。 詳細はこちら 小山町HP 森村橋関連資料
当時の設計計算書の一部
高欄の装飾類の細部まで意匠の復元を目指しました
プロジェクト詳細