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維持管理

日本中の交通インフラを
リアルタイムに点検し続ける。

TALK SESSION

事業統括本部国内事業部
インフラマネジメント部

H.YAMAMOTO

H.YAMAMOTO
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S.YAMAGUCHI
事業開発本部 第三開発室

S.YAMAGUCHI

橋の数 約73万橋。道路の長さ120万km。
日本は、交通インフラでできている。
H.Y
そもそも多くの方にとって、インフラはなんとなく遠い存在だと思います。道路や鉄道などを思い浮かべる方も多いかもしれません。ただ、それ以外にも多くのインフラがあります。たとえば、橋梁は全国で約73万橋以上、トンネルも1万箇所以上に設置されています。ふだん何気なく通る道や、近くの川、散歩しに行く公園もすべてインフラに含まれるんです。こう考えると、気づかないうちに毎日接していますよね。
S.Y
そうなんです。実は、人々の生活基盤としてとても重要なものなんです。普段気にしないのは、インフラが「あって当たり前、使えて当たり前」だから。生活の基盤になっているものを、改めて意識しないですよね。




H.Y
それ以外にもインフラには、経済活動を支えるという役割があります。物流で道路や橋を使ったり、ビジネスの移動で鉄道や空港を使うことは、経済が活発に動いている証拠です。日本には、道路をはじめ膨大な数のインフラがあります。このほとんどは、高度経済成長期につくられたものです。ただ、当時は新たに整備することが目的だったため、数十年後の維持管理のことまで考えられていませんでした。インフラが永久構造物ではない以上、そのままにしておくと経年劣化で壊れてしまいます。それを防ぐために、現代では維持および管理の必要性が着目されています。
S.Y
このように「維持管理」とは、インフラを保ち、損傷や劣化による事故を防ぐことです。「維持」は、人で例えると健康診断のようなもの。緻密に点検をして、道路や橋のひび割れなどをチェックします。一方「管理」は、そのデータをもとに整備や補修内容を考え、実際に施工することです。




H.Y
目的は、住民の方々の安心・安全を確保すること。そのため、非常に重要で欠かせない工程なのですが、ほとんどの自治体で維持管理が十分行えていないのが現状です。



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少子高齢化や過疎化が、
維持管理にもたらす影響。
H.Y
多くの場合、インフラを管轄しているのは都道府県や市区町村です。そのため、自治体の税収が維持管理の予算に直結します。しかし、少子高齢化や移住による住民の減少で、財源を十分に確保できない自治体が多くなっています。また、人手不足の課題もあります。ある自治体では、維持管理を担当する部署に十分な知識と経験をもった土木技術者が一人もいないほど、人手不足に陥っています。予算も人手も決して十分とは言えない。そうなると、どうしても生活者の関心が高い福祉や新たな道路整備といった課題解決のため予算を割かざるを得ません。維持管理の必要性を感じながら、取り組めない事情がここにあるんです。
S.Y
一方、明るいトピックスもあります。たとえば、技術革新でロボットで施工する技術が出てきたり、AIとシステムを駆使して誰でも職人さんと同等の技術力に近づけたり。ドローンを使ったレーザー測量も実用化が進んでいます。費用・人のコストを削減し、手間を掛けずとも維持管理ができるようになる時代に突入し始めているのです。もちろん、当社でもその一翼を担えればと考えています。独自開発したインフラ管理システム「i-MASTER」は、クラウド上の地図データに、検査結果を入力することで、確実なタスク管理と圧倒的な省力化を実現しました。そのほかにも、河川にある護岸を撮影すれば、ひび割れをAIが自動的に分析してくれる「Gogango」というシステムも開発しています。




H.Y
このように、省力化を実現する技術・製品はすでに実用レベルで生み出されています。しかし、技術の革新だけでは十分とは言えません。メンテナンス技術のサイクルを車の右車輪だとすると、左車輪にあたる導入・運用というマネジメントサイクルも必要なんです。両輪が揃って、はじめてまっすぐ前に進めるようになります。



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維持管理のない世界をつくる。
これが、目指すミライの維持管理。
S.Y
マネジメントサイクルは維持管理の仕組みをつくることと同じです。言い換えれば、施策をどう実現するかまで考えること。これは、これからの維持管理において必須の要素となるでしょう。なぜなら、技術が進んで点検から施工まで自動化できても、ゴールとは言えないからです。




H.Y
たとえば衛星を飛ばし、地上を撮影して一気にデータの蓄積と分析ができる技術ができたとします。しかし、どれだけ正確なシミュレーションができたとしても、最終的には人の判断と決断が必要になります。また、数字上の最適解を出せるだけのデータがあっても、住民一人ひとりにとってそれがベストな順番・方法とは限りません。技術革新は、あくまでも人がやらなくて済むものを可能な限り代替すること。その上で、そこに住まう人々を考えて維持管理していくことが、マネジメントに求められる側面です。
S.Y
この両輪がうまく回っていくと、維持管理のあり方は大きく変わっていくと思います。たとえば、それぞれで管理していたインフラを、各自治体が連携しあって管理を一元化する。また、管理自体を簡略化することで、予算と人員の枠を超えてベストな維持管理の施策を打てるようになる。更に技術革新が進んでいけば、日本中のインフラをリアルタイムで点検したり、建造物の内部まで診断できる技術も出てくるかもしれません。




H.Y
そうですね。日本だけではなく、世界中の企業が新しい技術やサービスを生み出しています。雑草が生えにくい芝生の開発や、竹が伸びにくくなる草木。全国の道路や河川で、そうした施策が実際に行われていますね。
S.Y
もっと先の話をすれば、そもそも維持管理という概念さえも変わる可能性だってあります。メンテナンスが最小限で済む。極限まで省力化できる。それまで維持管理に注いでいた予算を、福祉や街づくりに注げるようになる。リアルタイムで日本中の交通インフラが点検できるようになれば、「労力をかけない・かけなくていい」という状態になります。実は、これが真の意味で目指すべき維持管理の姿です。




H.Y
もしかすると、そうした世界では「維持管理」という考えがなくなっているかもしれませんね。ビジネスという観点で考えれば、1つの事業が消滅してしまう可能性もはらんだ話です。それでも私は、プロのコンサルタントとして「維持管理」という概念を、世界からなくせるくらい頑張っていきたいんです。きっと、それが実現したミライのほうが、多くの人にとってより良い未来になっているはずですから。

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