災害予警報の迅速な伝達により、人命を守る。
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災害予警報の迅速な伝達により、人命を守る。
トンガ王国(以下、「トンガ」という)は南太平洋に位置し、大小176の島々から構成される島嶼国です。日本では、ラグビー強豪国として広く認知されているでしょうか。
トンガは地震多発地帯であるトンガ海溝に隣接しているため、地震や津波のリスクが高くなっています。加えて人口が沿岸部に集中しており、かつ多くの島々に人口が分散しているため、効率の良い災害予警報の伝達や災害発生時の迅速な対応が困難な状況にあります。近年では、サイクロンによる大きな被害に見舞われています。
こうした状況から、トンガ政府は2015年から10年間、長期的国家開発計画として「トンガ戦略的開発フレームワーク2」を策定し、防災体制強化のプロジェクトを推進しています。本プロジェクトでは、トンガ全域にわたる災害警戒情報や安全情報に係る組織間および市民への迅速な情報伝達と、そうした伝達範囲対象拡大のための施設・機材を整備することで、自然災害による被害の軽減を目指しています。
本プロジェクトは独立行政法人国際協力機構(JICA)の無償資金協力のスキームで実施されています。
2017年から2018年に現地調査を行いました。その結果、災害情報の伝達に時間がかかったり、既存の音響放送(サイレン)機材の数量不足や動作不良、災害情報を配信するラジオ放送設備の老朽化、ラジオ放送の電波の届く範囲が不十分等の問題が見つかりました。それらの問題を解決するため、私たちは主に「建設工事」と「機材調達」を計画しました。建設工事ではトンガタプ島の首都ヌクアロファにあるTBC(トンガ放送委員会. トンガ全域をカバーする唯一の公共放送)のテレビ・ラジオ放送局舎と中波送信所を更新します。機材調達では主に緊急無線システム、早期音響警報システムおよび中波ラジオ放送システムを導入・更新します。それらの工事は2019年2月から開始され、2020年8月に完成予定です。
緊急無線システムは防災関連機関の専用無線システムで、災害時および平時の関係機関間の連絡に利用されます。早期音響警報システムは、政府から津波で被害を受けるエリアの住民に対し、サイレンにより早期警報を伝達して避難を促します。TBCが管理する中波ラジオ放送システムは、システムの基盤設備の改善と、首都から600km以上ある離島における受信品質を改善します。こうしたシステムによって、住民へ警報が発令され、より早い避難が可能となります。
プロジェクト詳細