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鳴子ダム堤体コンクリートAI点検プロジェクト
実績

ダム堤体の目視点検を
AIによる画像認識で代替する

鳴子ダム堤体コンクリート
AI点検プロジェクト

# 官公庁のお客様 # 国内 # 維持管理 # 調査・点検・補修 # ダム # AI

堤体コンクリートの点検を
客観的・定量的に行いたい

昭和32年(1957年)に完成した鳴子ダムは、日本の技術者だけで建設した100m級アーチ式コンクリートダムです。平成28年(2016年)に土木遺産に認定されました。完成から60年以上が経過した鳴子ダムは、冬には雪に覆われ堤体コンクリートにはポップアウトが現れています。ポップアウトとはコンクリートの表面が薄い皿状に剥がれ落ちる劣化現象で、水分が凍結と融解を繰り返すと発生しやすいとされています。ポップアウトの発生が堤体の安全性に影響はありませんが、適切な経過観察を行う必要があります。
鳴子ダムの堤体は高さ94.5m・幅215mあり、従来はこれを目視で点検していましたが、膨大な労力と点検者による確認の個人差や経年比較が難しいなどの課題がありました。近年は、ドローンの普及でダム全体の高精細な画像が手軽に撮影できるようになり、ディープラーニングによる画像認識が大きな成果を上げています。
そこで私たちは、これらを組み合わせ、点検時に堤体コンクリートの状況を把握するためのシステム開発に取り組みました。

  • ポップアウトの発生メカニズム

  • 鳴子ダムで発生したポップアウトの画像

ドローン測量とディープラーニングで
点検を自動化

本プロジェクトでは鳴子ダム堤体のポップアウトを対象とし、ドローンで撮影した画像の形状・位置・大きさを自動検出する開発を行いました。
ポップアウトを正確な位置や大きさを把握するためには、高画質かつ縮尺が固定された画像が必要となります。ダムのような大きな建造物の場合、高画質の堤体の画像となると、全体を俯瞰した画像では不足のため、各場所ごとの膨大な数の画像が必要です。しかしドローンは風によって撮影位置がぶれてしまうため、ぴったりとそろった固定の縮尺を撮影することはできません。そこで航空写真測量の技術を応用し、バーチャル空間上に緯度経度の座標をもった鳴子ダムの3次元モデルを復元し、それを堤体のアーチ形状に沿って展開した画像を生成しました。これにより画像の縮尺が固定されポップアウトの位置(座標)や大きさ(面積)を把握できるようになりました。
次に、ディープラーニングを活用しポップアウトを自動抽出するプログラムを開発しました。まず、画像の一部に対して人手でポップアウトを示した教師データを作成し、ディープラーニングモデルで学習を行うことで、残りの画像に対してはAIが人間と同等の水準でポップアウトを自動で抽出することが可能になりました。
これによりAIが統一の基準でポップアウトを抽出し、その位置や大きさを定量的に計測することが可能となりました。今後の点検では全てのポップアウトの自動判別を行うこととなり、点検者による人的労力や個人差、経年比較の解消も図れることとなりました。

  • 復元した鳴子ダムの3次元モデル

  • ひび割れなどを除き、ポップアウトのみを自動判別する

プロジェクト詳細

    業務名 :鳴子ダム堤体コンクリート表面劣化対策検討業務
    発注者名:国土交通省東北地方整備局鳴子ダム管理所

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