地域資源を活用した
地産地消のエネルギー創出と資源循環
Menu
地域資源を活用した
地産地消のエネルギー創出と資源循環
石川県羽咋郡にある志賀町では、民間事業者が導入した太陽光、風力発電等の再生可能エネルギーが導入され、国の固定価格買取制度を利用して売電されている一方で、町の公共施設での導入は一部の学校施設の屋上を利用した太陽光発電に限定されています。
そこで私たちは、町に賦存する(潜在的に存在している)資源を利用して、再生可能エネルギーの導入拡大、新たなエネルギー源の創出、町の産業振興、防災機能の向上、地域経済循環等といった町の価値向上を目指すことを示した「志賀町エネルギービジョン」を策定しました。
豊かな自然環境の志賀町。農業や林業、漁業が盛ん。
志賀町エネルギービジョン(概要版)
「志賀町エネルギービジョン」で示された重点戦略のうち「①地域の有機系廃棄物を集約し、メタン発酵によるエネルギー創出と発酵残渣の肥料利用」と「②公共施設での太陽光発電や地中熱利用導入とそれに伴う町民理解促進や地域産業の振興」について、導入可能性調査や地域の価値を高めるための取り組み内容を立案しました。
① メタン発酵試験をもとに、地域特性に即した事業性を評価
地域に賦存するバイオマスのうち、下水汚泥、農業集落排水施設・浄化槽の汚泥、農業・漁業残渣、食品廃棄物、畜産糞尿を対象としたメタン発酵を調査しました。
多様な資源を混合した実規模での事例が少ないことや、地域のバイオマス特性に即したバイオガス発生量、肥料成分等を把握することを目的に、実サンプルを用いて発酵試験を実施しました。関係者へのヒアリング調査をもとに存在量を把握するとともに、試験結果から、投入バイオマス種の比較・選定、関連設備の種類や規模(前処理設備、発酵槽等)の選定、下水処理場へ負荷検討(消化汚泥の脱水ろ液の処理影響の評価)、肥料成分の推定を調査しました。
調査結果をもとに、現状方法とのコスト比較と事業採算性を評価し、導入に向けた課題と解決策等をまとめました。
② 町の公共施設での再エネ導入による効果・コスト試算をもとに施設の選定・評価
町の公共施設を対象に再生可能エネルギー(太陽光発電・上下水道施設の小水力発電、太陽熱利用・地中熱利用)の導入検討を実施しました。
太陽光発電の導入可能性では、時間単位での発電量予測、施設の需給バランス調査、構造計算書等を利用した耐荷重判定等を実施し、地中熱利用の導入可能性調査では、採熱可能量の推計、施設の熱需要とのバランス調査、電力・燃料削減コストの試算等を通して、導入を推進すべき施設を提案しました。
また、公共施設への導入を通して、町の新たな産業・強みにするための町民理解促進や普及展開に向けた取り組みも検討しました。
また、この調査・検討にあたっては、大学の学識経験者をはじめ、町の関係者から構成される検討会を計7回実施し、多様な意見を踏まえて結果をまとめ、次年度以降の導入に向けたロードマップを作成しました。
※調査内容の一部は、2019年土木学会全国大会にて口頭発表しました。
メタン発酵試験の様子
プロジェクト詳細