百年先まで越後平野を守る大河津分水路改修事業
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百年先まで越後平野を守る大河津分水路改修事業
大河津分水路は越後平野を洪水から守るために開削して作られた放水路です。大河津放水路では過去に河床が低下して地すべりが発生したため、河口部には第二床固、副堰堤といった落差工が作られ、1922年の通水から約百年ものあいだその機能を果たしてきました。
しかし、河口部では近年の洪水を流すための断面が不足しているため、分水路の拡幅を行って流下能力不足を解消する必要があります。また、老朽化が進んで河床安定機能が低下する第二床固に代わる落差工を整備には、現在の流下能力の確保と施工時の河床の安全に配慮した施工の確実性が重要な課題でした。
現在の大河津分水路
平成28年9月、洪水時の大河津分水路
解決を図るための、新しく整備する「新第二床固」は上流の河床を安定させる落差工、下流には越流水のエネルギーを消散させる減勢工と下流の河床を保護する護床工など多岐にわたる施設から構成されます。
この「新第二床固」を整備するためには『冬の河川水が少ない期間に』『現在の川の流れがある中で』『現在の川の流下能力に影響することなく』といった要件をクリアする必要があり、これまで経験したことのない施工方法を計画する必要がありました。この課題に対して私たちは「ニューマチックケーソン工法」で施工することとしました。「ニューマチックケーソン工法」は、函体(ケーソン)の下部に設けた掘削作業室に圧縮した空気を送り込むことで周囲の水が入らないように調節し、所定の深さまで掘り進める工法で川の中に作る橋梁の基礎工事などで用いられる工法です。
このケーソンで河川を横断する落差工を9ブロックに分割して1年の3ブロックずつ設置する方法を水理模型実験や三次元モデルで工事の安全性や設置順序を検討して施工方法の妥当性を検証し、採用に至りました。
この大河津分水路新第二床固改修工事は令和元年から着手され、2023年の完成を目標に工事が進められています。
CIMモデルによる施工計画検討
プロジェクト詳細