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防災リスクコミュニケーションの促進
実績

住民の意識レベルに応じた防災情報提供

防災リスクコミュニケーションの促進

# 官公庁のお客様 # 国内 # 国土保全 # 河川

防災教育で、自分事化する

国土交通省では、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化に適応するため、流域に関わるあらゆる関係者が協働して水災害対策を行う「流域治水」の取り組みを進めています。しかし、既存のアンケート調査では、「流域治水」が浸透していないという結果となり、その認知度はまだ高くはない状況です。そのような中で水害は毎年のように発生し、避難の遅れなどによる犠牲が発生しています。そのため、2023年4月に住民や民間企業などのあらゆる関係者が、流域治水の取り組みを持続的・効果的に進めるための普及施策を検討することを目的として、国土交通省主導で「水害リスクを自分事化し、流域治水に取り組む主体を増やす流域治水の自分事化検討会」が設置され、流域治水の推進に向けた普及施策の行動計画がとりまとめられました。

当社では、水防災意識社会再構築ビジョン※(2015年12月)策定以降、知識の習得と意識の啓発を目的とした小・中学校における防災教育、また住民が学習しながら避難行動を考え・気づきを得るマイ・タイムライン作成支援など幅広く実施しています。その中で、住民個々の防災意識や考え方にはばらつきがあるため、興味・関心の度合いに合わせることが重要と考え、住民個々の防災意識構造を把握したうえで効果的・効率的に防災をわかりやすく『自分事化』するための普及施策を支援しています。


※水防災意識社会再構築ビジョン:行政・住民・企業などの各主体が水害リスクに関する知識と心構えを共有し、ハード対策とソフト対策が一体となった水防災意識社会を再構築する取り組み

約8割が「水害リスクの認知に課題あり」

住民個々に防災を「自分事化」してもらうため、住民の水害意識を客観的かつ定量的に分析する手法を提案して、地域の住民の防災意識レベル(図1)※がどの段階にあるかを把握しました。図2は奈良県と大阪府を流れる大和川流域を対象に、Phase1)リスクの存在を知る、2)リスクの存在に気づく、3)リスクを深く理解する、4)対処方法を理解する、5)対処行動を実行する、の5 段階に区分する概念を軸に、WEB アンケートで防災意識を調査した結果の一例です。防災意識が非常に高い率先避難者が約1~2割いる一方で、約7~8 割が水害リスクの認知に課題があるPhase1~2 となっています。

大和川沿川自治体のハザードマップの認知度は上がっていますが、「豪雨で河川の堤防が壊れたり、あふれたりすることは起こりうると思わない人(Phase1)」は依然多く、深く理解するまでにいたっていない状況です。一方で、率先避難者は一定数存在し、これらの人々がインフルエンサーとなり、周辺の人々への波及効果が期待されます。そこで率先避難者には、マイ・タイムラインの作成促進を図るため、水害危険性が高い地域における作成講習会を行い、マイ・タイムライン広報動画の作成などの展開方法を検討しました。また、「リスクを知る必要がある層(Phase1)」には「まちなか」に浸水深を表示する「まるごとまちごとハザードマップ」は効果的な取り組みであり、「まるごとまちごとハザードマップ」実施の手引き(第2版)を検討した業務経験を活かして、事前調査段階から設置、活用までの支援を行いました。


マイ・タイムラインについて分かりやすく説明されている動画を作成し、国土交通省大和川河川事務所の「マイ・タイムラインとは」にて公開されています。ぜひご覧ください!

※住民の防災意識水準に応じた教育プログラム策定手法に関する研究(2008):本間基寛、片田敏孝、桑沢敏行 著 を参考に設定




※2023年9月時点の情報です

  • 図1:防災意識レベルの概念

  • 図2:大和川流域の住民の防災意識レベル

プロジェクト詳細

    業務名 :大和川水系防災体制整備業務
    発注者名:国土交通省近畿地方整備局大和川河川事務所