巨大地震による土砂災害からの二次被害の防止
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巨大地震による土砂災害からの二次被害の防止
2018年9月6日に発生した平成30年北海道胆振東部地震は、北海道で初めて震度7が観測され、厚真町では多数の斜面が崩れ、36名が土砂災害の犠牲となる甚大な災害が発生しました。当社では、発災3日後に国土交通省 北海道開発局より緊急調査の依頼を受け、その翌日から災害調査を行いました。
業務のミッションは、多数の斜面崩壊により生じた土砂が河道内に無数に堆積しており、これらが今後の降雨・洪水によって一気に下流の市街地に流下する恐れがありました。このため、今後の降雨による土砂の移動形態を予測し、下流の市街地を土砂災害から守るための砂防堰堤の調査・計画・設計を行うことでした。
砂防堰堤の計画地の災害直後の様子
当社では、近年多発する激甚な土砂災害の対応実績を豊富に有しています。そのため、初動の緊急調査から迅速な対応を行うことが可能です。また、崩壊地は多数発生しており、UAV(ドローン)を活用した調査も実施しました。
調査結果を踏まえた検討結果では、想定される土砂移動現象は極めて大規模なものでした。同様に、この土砂災害を防止するためには極めて規模の大きな砂防堰堤が必要となる結果が得られました。一方、既に無数の崩壊地からの土砂は河道に堆積しているなか、翌年の融雪出水や夏季の集中豪雨による土砂災害のリスクは目前に迫っていたため、砂防堰堤の完成は間に合わないことが判明しました。
このため、市街地の当面の安全を確保することを最優先事項として、暫定的な砂防堰堤を翌年の融雪出水や夏季の集中豪雨前までに完成させました。その後、砂防堰堤を嵩上げして市街地に対し安全を確保させる砂防堰堤を建設するという二段階の整備計画を立案しました。
これら砂防堰堤については、CIM(Construction Information Modeling)を活用した三次元設計を行い、完成イメージの動画を作成。それにより関係者が砂防堰堤の全貌を共有でき、素早い意思決定を行うことができました。
融雪期前に当面の安全を確保するための砂防堰堤が完成
プロジェクト詳細