PC長大鉄道橋に最適な形式
それがエクストラドーズド橋
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PC長大鉄道橋に最適な形式
それがエクストラドーズド橋
2011年3月、ようやく九州新幹線・鹿児島ルート全線開業したのは記憶に新しいですが、その路線の中で、熊本駅から新八代駅間にある大野川を跨ぐ箇所にひと際目立つ橋梁があります。
橋は斜めのケーブルで吊られた構造であり、そのケーブルの色は、熊本県の特産であるデコポン色。その橋こそ、スパンが100mを超えるPC長大橋によく使われる形式、エクストラドーズド橋です。河川内にある橋脚をよく見ると、斜めの柱に対して頭部をひねって橋桁と剛結されているラーメン構造となっています。
デコポン色に塗られたケーブルと白い橋梁のコントラストが美しい
新幹線で初めてエクストラドーズド橋が適用されたのは、長野冬季オリンピックに合わせて1997年に開業された北陸新幹線(高崎・長野間)にある長野自動車道を跨ぐ屋代南・北架道橋(スパン105m)です。その後、東北新幹線(八戸・新青森間)の三内丸山架道橋、北陸新幹線(長野・金沢間)の神通川橋梁、そして北陸新幹線(金沢・敦賀間)の細坪架道橋と、スパン120m以上クラスの鉄道橋でよく使われる構造となりました。吊り構造の橋には、エクストラドーズド橋以外に斜張橋がありますが、これは鉄道橋にはあまり適しません。
吊形式橋梁である斜張橋は一般に桁を薄くできますが、桁を薄くしすぎると列車の走行安全性や乗り心地に問題を生じます。その点、エクストラドーズド橋は、主塔が低く、斜材の角度が水平に近い特徴を持ち、変動荷重による斜材の応力振幅を抑えることができることから、挙動は一般の桁橋に近く、よって、長大スパンになったときに、変動荷重が特に大きい列車荷重に対しては、主桁の剛性に期待した本構造は、走行性や維持管理の面からも抜群の対応力があります。
大野川橋梁は、スパン113mと小さめであり、橋脚が河川方向に30度とかなり斜めにセットされています。その斜角のある橋脚に対して、新幹線の走行時に主桁がねじられないことが鉄道橋には重要。それに対して、主桁と橋脚を剛結することで主桁のねじりの影響を低減することを考え。そのとき、橋脚の上方をひねって剛結することで、左右両側の主塔位置を主桁と並行にして、さらに斜材張力バランスの良い構造としました。斜材の長さを同じにすることで、斜材の温度伸縮による桁の上下動も均一となり、走行性だけでなく軌道構造の維持管理上にも配慮した、鉄道橋に優しい構造となっています。
頭部をひねって橋桁と剛結されている(ラーメン構造)
プロジェクト詳細