新幹線で初の下部工を道路橋と併用した一体橋
Menu
新幹線で初の下部工を道路橋と併用した一体橋
2024年に開業したJR北陸新幹線金沢・敦賀間の福井市北東部に位置する九頭竜川では、JR北陸新幹線橋の両脇に道路橋を抱えた3連の橋桁が両岸を結んでいます。この橋は、橋長415m、スパン65mの7径間連続PC箱桁橋であり、新幹線と県道の橋が一体的に整備された、全国でも珍しい構造をしています。
JR北陸新幹線の整備計画ルート決定とほぼ同時期から、この場所には県道の整備計画がありました。周辺の福井市森田地区では、土地区画整理事業で人口が増えたことなどから、九頭竜川を跨ぐ南北の橋の周辺で慢性的な渋滞が発生しており、九頭竜川にはもう一つの道路橋を架けることが望まれていました。
しかし、鉄道橋と道路橋は、新幹線と自動車の走行車両や速度が異なるため、橋に要求される性能(スペック)も異なり、本来は別々に橋を架ける必要がありました。それぞれを単独橋として整備すると、河川内に設置される下部工(橋脚)の数も倍になり、複数の橋脚による河床の洗掘など河川環境への影響が指摘されていました。また、周辺はアラレガコという魚類の生息地として、国の天然記念物に指定されています。
私たちは、河川環境への影響を最小限にすること、そしてコストを縮減するという2つの観点から、橋脚を鉄道橋と道路橋で併用すること(柱幅約34m)を提案しました。
堤防から見える広幅員橋脚と美しい桁ライン
迫力のある3本の橋桁
橋脚を鉄道橋と道路橋で併用する観点から、両橋の桁下ラインをできるだけ統一することを考慮し、河川内の橋脚の配置間隔は支間65mの中規模とし、橋梁形式はPC連続箱桁形式を採用しました。PC箱桁の施工は、河川内であることから、どちらも移動作業車(ワーゲン)を使った張出し架設を採用しました。鉄道か道路のいずれかの桁が先に完成した後でも、残りの桁を移動作業車で架設できるよう、それぞれ1m以上の離隔を確保しました。
下部工は、鉄道と道路の基準をともに満たすよう設計しています。道路橋示方書に準じて下部工の被りは9cm、鉄道を含む上部工は同7cmを確保しました。柱の主筋は鉄道基準よりSD390を基本とし、柱のコンクリート強度は道路橋示方書より30N/mm²を採用しました。配筋上のルールについては、帯鉄筋の形状や配置ピッチ、段落しなど、双方の基準で安全側となる鉄筋量を配置しました。
支承部については、道路橋は比較的地盤が固いため免震シュー構造を採用し、鉄道橋は地震時の軌道への影響に配慮して沓・ストッパー構造としました。
耐震設計では、鉄道橋は静的非線形解析を基本とするのに対し、道路橋では動的非線形解析(時刻歴応答解析)による照査も必要であるため、2種類の耐震設計手法を適用し、照査を行いました。
道路橋では、寒冷地であることから冬季に凍結防止剤が散布されます。散布時の凍結防止剤に含まれる塩化物イオンの飛来を想定し、耐久性向上の観点から、併用する鉄道橋の桁外面および橋脚・橋台の天端には、表面含浸材を塗布する計画としました。