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フィジー国 洪水被害から人々の命と資産を守るために
実績

気候変動により激甚化する洪水被害

フィジー国 
洪水被害から人々の命と資産を
守るために

# 官公庁のお客様 # 海外 # 水資源 # オセアニア # 水リスク

フィジーの人々の心にぜひ応えたい

本プロジェクトの対象流域に位置するナンディタウンはフィジー第3の都市で、サトウキビを中心とした伝統的な一次産業のほか、フィジーの空の玄関口となるナンディ国際空港を擁し、年間60万人を超える観光産業の中心で同国の重要都市となっています。一方で、洪水に対しては脆弱で、近年では2009年1月、2012年1月及び3月、2016年2月などに甚大な洪水被害が発生しています。気候変動による洪水被害の激甚化も懸念されており、ナンディタウンにおける洪水被害の軽減は、フィジーが将来にわたり持続的に発展していく上で優先的に対応すべき課題となっています。
本プロジェクトは、ナンディタウンを含むナンディ川流域において、IWRMを念頭に置いた統合的アプローチ、また住民意見も踏まえたボトムアップ型アプローチにより、総合的な洪水対策計画の策定と優先プロジェクトの選定を行い、事業を実施していくことで、ナンディ川流域における洪水被害軽減及びフィジー国の経済発展に寄与することを目的として進められています。
当社はフィジーに対し1990年代から約30年に亘り、さまざまな形で調査や支援を続けています。フィジーは太平洋にある島嶼国で、気候変動の影響による洪水被害の激甚化などが懸念される中、世界で最初に「京都議定書」に批准した国です。また、海面上昇により水没の危機にあるキリバスやツバルからの移民の受け入れも表明した国です。自らが洪水被害や気候変動によるリスクに晒されながらも、困っている隣人に背を向けることのないフィジーの人々の心にぜひ応えたい、そんな熱い想いでプロジェクトを続けています。

  • ナンディ川とナンディタウン中心街

  • 2016年洪水におけるナンディタウン中心街の様子

水リスクに対する認識を高め、備える

本プロジェクトでは、ナンディ川流域全体を見据え、河川からの氾濫による洪水被害を軽減するための洪水対策と、街中で短時間に降る集中豪雨等による浸水被害を軽減するための雨水浸水対策の二つのアプローチで洪水被害軽減策を検討しています。また、上流域の水源林の保護や保全、土砂動態の管理、環境保護・保全など流域マネジメントも視野に入れています。
洪水対策は、ナンディ川流域全体をモデル化し、氾濫解析や経済分析を通じてナンディ川の河道拡幅や遊水地整備などの最適解を求めています。街中の雨水浸水対策は、街中の小流域をモデル化し、雨水排水路の改修や新設、雨水貯留施設の整備等の提案を行っています。検討や計画に際しては、行政関係者や商業・公共関係者、地域住民、コミュニティ、NGO等のステークホルダーと会議やワークショップを通じて議論を重ね、合意形成を図りながら、各取り組みを進めています。
今後は、これらの検討や議論を通じて得られた対策を優先対策としてとりまとめ、河川改修や雨水貯留施設の整備など、各種対策の実施・実現に向けた取り組みを進めていきます。そのためには、行政関係者、商業・工業関係者、地域住民等がこうした洪水リスクを理解し、地域一体となって事業を進めていくことが必要です。また、普段から洪水リスクに対し認識を高め、自らが洪水被害に対して備えておくことも重要です。本プロジェクトでは、洪水リスクマップの作成や組織能力強化及び社会への啓発活動等も実施していきます。



※2019年11月時点での情報です。

  • 2012年既往最大洪水時における最大浸水深図(氾濫シミュレーション結果)。濃い紫色は浸水深3~5m、水色は1~2mの浸水深となっている。

プロジェクト詳細

    業務名 :フィジー国ナンディ川洪水緩和プロジェクト
    発注者名:アジア開発銀行(ADB)
    業務名 :フィジー国ナンディ川洪水対策計画プロジェクト
    発注者名:フィジー国政府