日本の技術を採用したベトナム初のごみの衛生埋立処分場
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日本の技術を採用したベトナム初のごみの衛生埋立処分場
プロジェクトの対象となったハイフォン市は、ベトナム国北部エリアで首都のハノイ市に次ぐ、人口180万人(2012年当時)を超える大都市です。当時ハイフォン市では、経済成長にともなう急速な都市化と人口増によって廃棄物が大量に発生し、生活環境の悪化が顕在化していました。特に既存のごみ埋立処分場はすでに満杯の状況にあったうえ、適正な運営管理ができていなかったため、悪臭やハエなどの害虫が多く発生していました。そこでハイフォン市は、日本の円借款事業を活用して本プロジェクトを行うことになりました。
本プロジェクトでは、主に①ごみの埋立処分場の建設、②アクセス道路の建設、③ごみ収集車両などの調達 を行うことになりました。これによって、大量に発生した廃棄物を迅速に回収し、適正に埋立処分することで、ハイフォン市の生活環境が著しく改善することになりました。このプロジェクトにおいて、当社は顧客であるハイフォン市に対して、施設などの詳細設計、入札の補助と技術評価、工事の施工監理などのコンサルティングサービスを提供しました。
処分場
新しく建設した埋立処分場の全体写真(岩山の手前が汚水処理施設、奥がごみの埋立エリア)
このプロジェクトのメインとなるごみ埋立処分場は、ベトナムでは初となる衛生的な埋め立て処分場です。さらに、この埋立処分場は日本で開発された「準好気性処分場(福岡方式)」(※1)という技術を採用しました。この技術によって、埋立処分場から発生する温室効果ガスの削減効果と、埋立処分場から発生する汚水の水質の改善効果が期待されました。
ごみの埋立処分場というのは、人が生活するうえで不可欠な施設ではありますが、いわゆる「迷惑施設」に位置付けられ、自分の家の近くには建ててほしくないと言われることが少なくありません。そして、この様な状況はハイフォン市においても同じです。
今回の埋立処分場は、ほとんど人が住んでいない大きな川沿いの湿地帯に建設されました。湿地帯であったため地盤が緩く、地盤沈下のリスクがありました。そこで、埋立処分場全域で大規模な「地盤改良」を提案、詳細設計を行いました。
当社はこのプロジェクトに2011年から関わり、工事が完成した2021年まで10年以上にわたって従事してきました。この間に、土木、建築、廃棄物、水処理、電気、機械など、さまざまな分野の技術者が力を合わせて詳細設計、入札補助・評価、施工監理を行いました。特に、施工監理ではベトナムの現地建設業者を監理して工事を完成に導きました。この埋立処分場やごみ収集車両などは、ハイフォン市によって活用され、ハイフォン市民の生活環境の改善に大きく寄与しています。
※1:ごみを埋め立てた処分場内部の通気性をよくし、埋め立てたごみに含まれる生ごみなどの有機物の分解を促すことで、処分場から発生する汚水や温室効果ガスによる環境負荷を低減できる技術
※2023年10月時点の情報です
浸出水処理エリア:薬剤と汚水を混合・攪拌する設備
一時的に川の流れを変えて行った浸出水処理エリアにつながる橋梁設置工事
プロジェクト詳細