内陸部の弱点を克服して
継続的な経済発展を果たすために
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内陸部の弱点を克服して
継続的な経済発展を果たすために
ラオス及びベトナムを含むメコン地域諸国は、6億人の巨大市場を有するASEAN経済において潜在力に富み、2015年のASEAN経済共同体(AEC)の設立によって経済開発や地域統合がさらに強まる状況にあります。そのために、メコン地域における経済回廊の整備を通じた経済発展が重要な開発課題となっていますが、物流インフラの未整備、非効率な通関・出入国管理・検疫(CIQ)とそれらに起因する物流コストの高さが経済発展の足かせとなっています。特に、内陸国であるラオスにとって、輸出入のための港湾へのアクセスは喫緊の課題となっており、ハノイ・ビエンチャン間の連結性不足が地域全体の中でも大きな問題となっています。
こうしたなか、2016年初旬にベトナム政府及びラオス政府の合意のもと、ハノイ・ビエンチャン間高速道路の整備に関するプレ調査・検討が開始されました。また、同年11月にベトナム共産党書記長がラオスを訪問した際、両国政府は同高速道路に関する覚書を締結し、2017年6月のベトナム・ラオス両政府との首脳会談において、日本に対して同高速道路への協力が要請されました。
本調査は、ハノイ・ビエンチャン連結性強化に向けたハード面・ソフト面の課題・施策等の検討に必要な各種の情報の収集と分析を通じて、以下の計画・提案を策定することを目的として実施されました。
ラオス国からベトナム国境に計画されている道路は工事が中断している
ラオス国とベトナム国の国境
ラオスからの輸出入貨物の一部を担うベトナムのクアロー港
対象地域は丘陵及び山岳地形が大部分を占めていたため、路線選定に当たっては正確な地形情報が必要でした。迅速に、かつ正確な地形情報を入手するために、衛星画像の解析・補正による地形図作成を行い、約15,000k㎡の1:50,000地形図、約1,600k㎡の1:25,000地形図、約320 k㎡の1:5,000地形図の3種類の地形図を設計用に作成しました。
当該道路はラオス~ベトナム間の物資流動に大きな役割を果たすことになるため、大型トレーラーが円滑に走行できる線形を考慮するとともに、ラオス国の首都であるビエンチャン~ベトナムのブンアン港間の走行時間短縮に寄与する路線計画を行いました。
そして道路整備は道路沿線の開発にも寄与することが知られています。沿線の開発が促進されるように、なるべく多くの開発可能地を通過するような道路線形を考慮するとともに、沿線の主要都市トナルパクサン及びラクサオにおける地域開発、産業振興に関する促進策を提案しました。
また当該道路の整備効果を十分に発揮させるためには、規格の高い道路整備を行うとともに、対象地域で課題となっている物流時間・コスト削減が必要です。ラオス・ベトナム国境における通関・検疫手続き、越境交通に係る協定、越境施設の増強と税関職員の増員、物流業者の育成等の施策についても提案を行いました。
さらに調査対象はラオス国、ベトナム国に跨がるため、協議も両国が対象となっていました。途中の段階では各国と個別に協議を行っていましたが、最終的には合同現地調査を実施して、調整を行いました。
ベトナム国での協議実施の状況
八千代エンジニヤリング、交通基盤、ラオス国、ベトナム国の担当者が共同で実施した現地調査
プロジェクト詳細