安全・快適な自転車通行環境の創出に向け、まちづくり・道路設計、あらゆる技術で取り組む
Menu
安全・快適な自転車通行環境の創出に向け、まちづくり・道路設計、あらゆる技術で取り組む
自転車は多くの人々が利用しやすい移動手段で、今後の高齢化社会の進展に対応するためにも、さらなる利用推進がされています。
また、移動手段としてだけでなく、人々の健康づくりや余暇の充実など、行動範囲を広げ、地域とのふれあいや仲間とのつながりを生むコミュニケーションツールとしても注目されています。
さらに、コロナ禍における社会や交通行動の変化により新しい生活様式が生まれたことで、自転車利用のニーズはますます高まっています。現在、自転車が関係する交通事故件数は減少傾向にある一方で、自転車対歩行者の事故件数は横ばいで推移しており、安全・安心な通行空間の確保が求められています。
安全で快適な移動を確保するためには、自動車・自転車・歩行者の通行区間の分離が必要です。
そのためには、これから新たに整備する道路に自転車専用の通行空間を設置することはもちろん、既存の道路空間に自転車通行空間を新設することや構造の再配分、また利用者のルール・マナーの徹底が不可欠です。
私たちは、自転車・歩行者の通行空間について、道路空間の再配分が必要な箇所の抽出から、必要な整備形態の検討、自転車通行空間が整備された道路設計にいたるまで、多角的なアプローチで取り組んでいます。自転車・歩行者・自動車の交通状況データ解析に加え、事故データや交通ビッグデータ解析、利用者へのヒアリング・アンケートによる実態把握、現地診断による道路状況の確認など、あらゆる方法を駆使しています。誰もが安全で快適に移動できる自転車利用環境の創出に向けた計画立案・道路設計に取り組んでいます。
南千住路上
国土交通省関東地方整備局東京国道事務所は、東京23区内の計10路線・約164kmの直轄国道(国土交通省が管理する道路)を管理しています。直轄国道である国道1号や国道4号など、東京23区内の放射軸の道路は広域な移動を担う重要な道路として多くの人々に利用されています。また、ポストコロナの新しい生活様式では、自転車利用者がますます増加することが想定されました。
一方で、これまでの自転車通行空間の整備状況を見ると、約10年間で17kmの整備にとどまっており、整備が進捗していない状況でした。このような状況を踏まえ、東京国道事務所では、東京23区内の放射軸として広域な移動を担う路線である直轄国道において、早急に交通の安全性・円滑性の向上を図るための早期の自転車ネットワーク構築を目的として、2020年度に自転車通行空間整備計画の検討に着手しました。2020年7月には有識者の参画による「自転車通行空間整備計画検討会」を立ち上げ、2021年2月に概ね3年間における自転車通行空間の整備計画を取りまとめました。
整備計画は、概ね3年間の整備方針のほか、現状で自転車通行空間の確保が困難な場合の検討例や、今後の整備推進に向けた工夫として、現地測量や図面作成の作業期間を短縮するモービルマッピングシステム(※1)の活用、整備が困難な箇所のネットワーク形成の考え方など、今後の自転車ネットワーク形成のための指針も盛り込んだ内容となっています。
当社は、直轄国道の交通状況や事故状況を整理し、自転車通行空間整備の必要性を明らかにすることや、道路状況・自転車の規制状況・都内の道路事業状況を踏まえ、連続的に自転車通行空間が可能な区間を明確にすることなど、交通ビッグデータ解析技術と道路設計技術の双方を活用し、検討会の立ち上げや計画の策定支援を行いました。
今後もこうした技術と経験を活かし、まちづくりと連携した自転車・歩行者空間の検討に取り組んでまいります。
国道1号五反田大橋
プロジェクト詳細