建築とアートが融合した図書館
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建築とアートが融合した図書館
1973年に開館した港区立麻布図書館。長年地域の人々に親しまれ、利用された図書館でしたが、建物の老朽化が進むと共に、近年の激甚化する災害とともに見直された建物の安全基準にも対応できなくなってしまったことから、港区は麻布図書館の建て替えの検討を始めました。
建替えにあたっては、プロポーザル方式が採用され、参加した各社は、建て替えに対する考え方や、どのような図書館に建て替えるのが望ましいかなどの提案を行いました。その中で私たちの提案した案が評価を受け、麻布図書館の建て替えプロジェクトが開始されました。
換気効率を向上させるため、吹抜けの階段を提案
本プロジェクトは、旧麻布図書館を解体後、同じ場所に新しく麻布図書館を建てる必要があるため、既存建物の解体範囲や、杭や基礎といった残置物と新しく建てる麻布図書館の杭や基礎の位置が干渉しないように留意して設計を行う必要がありました。
検討の結果、建物が揺れにくくかつ柱と柱の間隔を長くでき、室内に広い無柱空間を確保できるCFT(コンクリート充填鋼管)工法を採用することとしました。
新しい麻布図書館に求められる機能として、収蔵図書を効率的で利用しやすく配置するなど、図書館としての基本機能を持たせることはもちろん、環境に優しく省エネルギー効率の高い施設とするよう求められていました。そこで、各階を繋ぐ階段を吹抜けとし、各階で暖められた空気が、この階段を通って屋外に排出されることにより、夏場の空調負荷の低減や春、秋の中間期の換気効率を向上させるシステムを導入しました。
南面に面する壁面にはデザインと機能性を考慮した木製のルーバーを計画しました。このルーバーは計画敷地における夏至、冬至の太陽高度を計算し、太陽高度の高い夏場は日射を遮断し、太陽高度の低い冬場には太陽光が取り入れられるよう、ルーバーの間隔と奥行幅を設定しました。
また、港区では、芸術性の高い施設づくりを推進しており、新しい麻布図書館でも、エントランスホールの壁一面に「重なる」と題されたアート作品が飾られています。図書館の各階には「四季」をなぞらえたアート作品が飾られ、利用者が自分のいる階を認識しやすいサインともなっています。
基本設計、実施設計、建築工事を経て2014年7月1日、新しい麻布図書館はリニューアルオープンの日を迎えました。旧麻布図書館同様、地域の人々に親しまれる図書館となっています。
近くにお立ち寄りの際には、是非足をお運びください。
エントランスホールのアート作品「重なる」
プロジェクト詳細