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2016年06月07日
企業の社員が学校で授業を行う「出前授業」。教育分野への社会貢献活動(教育CSR)として実施する企業が増えています。多様化・複雑化する社会を見据えた教育の必要性が高まる一方、学校だけでは対応しきれない現実と、企業においても、その活動が社員の成長や高いモチベーションにつながるといった双方にとってのメリットがあり、さらに、八千代エンジニヤリングの使命である「明日の世界をデザインする」上で、将来にわたる人材の育成は不可欠という考えから、積極的に授業など教育現場に参加しています。
2016年4月11日(月)、その日、静岡県立三島北高等学校に入学した新一年生は、地域の水問題を学ぶ初めての授業を受けるため、沼津市のプラザヴェルデに集まりました。地域の水問題を学ぶのは、国際的に活躍する人材育成を目指して文部科学省が推進する「スーパーグローバルハイスクール(以下、SGH)」において、三島が誇る「水」にフォーカスし「ローカルウォータイシュー(LWI)」というテーマで取り組んでいるからです。
つい数週間前まで中学生だった新一年生たちは、水を通じて社会に一歩踏み出すことへの期待と不安を一身に抱きつつ、一年後にこの課題をやり遂げた先輩たちの背中を追って歩んでいきます。弊社社員の授業に向けるまなざしは、将来を見据えた高校生の目になっていました。
八千代エンジニヤリングでは、昨年度から三島北高校での出前講座に参加していますが、今年度は一年を通じて定期的に授業を行い、生徒たちとのコミュニケーションを図りながら、目標設定や調査・検討などにおいてアドバイスをしていきます。年度末の成果発表会、この子たちはどんなアイデアや研究をしてくるのでしょうか。そう考えると、これは私たちにとっても学びとなります。次世代を担う若者が「水」をどう捉え、どのような社会を描きだすのか、その創造力についつい期待は高まってしまいます。
■ 講師インタビュー ~教壇に立って想う ~ 豊富な湧水のある三島周辺の地下水をテーマに話をしました。特に、三島で湧出している地下水はその多くが富士山から流れて来ているとされているため、富士山の形成史や富士山の地質および地下水の流れを中心に話しました。また、実際に手を動かしながら聞いてもらった方が話した内容を理解しやすいと考え、立体視できる地形図や地下水の流動方向から汚染源を特定するといったグループワークを行いました。
どのような講義をしたのですか?
講義の中で、一番伝えたかったメッセージは? 三島の豊富で清涼な湧水を保全しつつ、有効に活用していける人材というと大げさですが、そんな市民性にもっと高められればいいですね。そのために、まず自分たちが普段つかっている水が「どこから」、「どのように」流れてきているのかを伝えられればという気持ちで、生徒たちの前に立ちました。
講義する上で工夫した点は? 一方的に私たちが話すばかりではなく、生徒に問いかけたり、会話しながらインタラクティブな講義を意識しました。ただ話を聞く授業ではなく、グループワークを挟んでメリハリもつけました。生徒さんが興味をもって授業ができていれば良いのですが...
反省点は?
話したいことがたくさんあり、少し喋りすぎたと反省しています。グループワークでは生徒の笑顔も見られたので、もっと時間をとれば良かったと感じています。また、会場が広かったため、なかなか後方に座る生徒とは会話が出来なかったのが残念でした。
やって良かったと思えた瞬間は?
今回の講義の感想(アンケート)の中で、「富士山の水の流れがわかりやすく理解出来た」と評価もいただけたり、グループワーク中に生徒さんの笑顔が見かけられたりと、ダイレクトに反応がかえってくるので、いつも、楽しんでやっています。 また、昨年度から三島北高校で講義をしていますが、先日、上級生(2年生)が私たちのことを覚えてくれていたのは、とても嬉しかったですね! それから、学生(高校生)をはじめ教育関係の方々とは仕事でほとんどお付き合いがないので、出前講座をすることで意見交換の場をもつことができ、建設業界という枠を超えて、世界が確実に広がりました。私たちが出前講座をするインパクトがどの程度あるかまだ分かりませんが、出前講座を通じて私たちが学んだり、気づいたりすることが多くあることは確かで、現在の社会で事業を展開させていく上で必要な機会ではないかとも思っています。
今後の展望は? 三島北高校の先生が「水も英語も同じだと思うけど、自分たちで信頼のあるデータを収集したり文献を調べたりすることが大事。この授業を通して是非学んで欲しい」とおっしゃっていましたが、情報化が進み、ネットで簡単にある程度の情報がそろってしまう現代に、とても大切なコトだと共感しました。今後はフィールドワークなど一緒に調査ができる機会があれば、是非参加して、自分たちで胸をはって世界に発信できるような成果になるよう、生徒たちの力になれればと思います。
それにしても、自分が高校生の時は、学校がこんなに熱心に学びの場、発表の場といった環境を与えてもらえなかったので、とてもうらやましく思います。って大人になると言えるのですが、高校生で水問題にとりくむって、よくよく考えるとスゴいこと。この子たちが成長した将来が楽しみです。