Menu

NEWS

2022年01月27日

頻発する洪水の人的被害最小化に!
的確な避難を支援する 「河川洪水の予測学習システム」を開発!
~予測学習※を使用し、洪水予報の精度向上を実現~

八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:出水重光)は、洪水時の早期避難を支援する「河川洪水の予測学習システム」を開発いたしました。本システムは、現象再現性を重視した従来の河川水位予測の手法とは異なり、「予測学習」を活用して河川水位予測の精度を向上させました。精度の高い予測情報により、大雨などによる河川増水時の確実で迅速な住民避難支援などへの活用が可能です。

また、当社の「ダム流入量の予測学習システム」(ダム管理者の洪水調節操作を支援するためのシステム)と併用することで、流域全体の水害リスクを早期に検知できることとなり、ダムや堰堤、堤防、調整池といった治水施設だけに依存しない、水害リスクと共存した柔軟な流域治水対策も後押しします。

※「予測学習」(predictive learning):モデルが計算した予測値と実測値との差を学習し、予測精度を上げるアプローチ。

※特許出願中/特願2021-210251



河川水位予測_01.jpg

■開発の背景

洪水時には、河川の水位を正確に把握し、いざという時には迅速に避難する必要があります。現在、気候変動の影響を受け洪水の激甚化が進むなか、洪水の危険度を的確に把握した避難の重要性はますます高まっています。そのようななか、国交省は20214月、国が管理する大規模河川について6時間先の水位予測の公開を開始しました。

洪水時の確実な避難のためには河川水位の予測情報が不可欠です。また、適切な避難のためには精度の高い予測情報が不可欠です。そこで、弊社は従来利用されてきた確定的な観測データで予測モデルを構築するのではなく、不確実性のある予測データで予測モデルを構築することに着目しました。


<「河川洪水の予測学習システム」の特徴>

予測学習

「河川洪水の予測学習システム」は、運用時の予測精度向上を追求して「予測データ」からモデル構築を行います。深層学習モデルを活用することで、未来の不確実性を持つ「予測データ」から確実性の高い水位予測へと変換しています。

この方法により6時間先の水位予測の劇的な精度向上を実現しています。従来の予測モデルは、これまで経験してきた実測値(既往雨量)に対してモデルを構築し、運用時は原則として予測雨量を使用しています。

しかし、気候変動の影響も考慮するとこれまで経験したことのない雨量に対して実測値(既往雨量)ベースのモデル構築では予測精度に限界があります。そこで本システムでは、モデル構築時と運用時でデータ環境格差をなくし、予測雨量に内包される不確実性を学習(「予測学習」と定義)させることで、予測精度を向上させています。


アセット 224@200x-100.jpg

予測学習の概念図


小流域でも6時間先予測を実現

本システムは、流域最上流端に降った雨が任意地点に到達するまでの時間(洪水到達時間)を十分に確保できない小さな流域に対しても、精度の高い6時間先の水位予測を実現します。


導入も容易

本システムは、通常計測している河川の流量、水位データがあればすぐにモデルを構築でき、導入時のイニシャルコストや工数のハードルが低いことが特徴です。

■「ダム流入量予測学習システム」について

本システムはダムに流入する水量を予測するシステムで、洪水到達時間が1時間未満の小さな流域についても、精度の高い6時間先の流入量予測を実現します。今まで、洪水警戒体制に十分なリードタイムを確保できなかった小流域においても予測が可能になりました。

高い予測精度のシステムを活用することで、ダム貯水池の最大限の効果を支援し、ダム自体の安全性を高めると共にダム管理者の負担軽減にも繋がります。

※特許出願中/特願2021-200216

河川水位予測_03.jpg

ダム流入量の予測学習システムの内容と予測結果


本システムは、洪水予測への適用をはじめとして、気候変動による降雨環境の変化による対策を行う民間企業への活用も見込んでいます。