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2022年06月02日
八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:出水重光)と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(東京都文京区、工学系研究科長:染谷隆夫)は、『設計照査ソフトウェア』のプロトタイプを共同開発し、そのソースコードを一般公開いたしました。『設計照査ソフトウェア』は、道路設計において人的に実施されてきた照査を代わりに実行できるソフトウェアで、設計エラー解消と生産性向上のために「i-Constructionシステム学寄付講座」において研究開発を進めてきたものです。
『設計照査ソフトウェア』のソースコードを一般公開することで、照査ソフトウェアの活発な開発を後押しいたします。
【公開先はこちら】 https://github.com/iCon-RoadDesignVerificationSystem/i-ConVerificationSystem
本研究の論文「3次元モデルを活用した道路設計照査システムのプロトタイプの開発」(土木学会論文集F4(建設マネジメント) 77巻(2021)1号)はこちら
・研究開発の背景・
設計におけるエラーへの対策として、国土交通省では詳細設計の技術者による赤黄チェック(マーカーでチェックを行い照査済みであることを見える化する手法)を義務化し、また業界独自でもチェックリストの強化を実施しています。設計エラーは減少傾向にありますが、解消には至っていません。また、2017建設コンサルト白書によると、照査要領に沿った人的照査は費用負担が大きく、建設コンサルタント業界における長時間労働の一端となっている状況です。
設計エラーの発生状況
・開発のポイント・
国土交通省では、設計品質の確保や効率的な施工計画を行うことを目的として、令和5年度に小規模を除く全ての公共工事におけるBIM/CIM原則適用を掲げています。そのため、全ての設計が2次元図面から3次元モデルに移行していくことになります。開発した『設計照査ソフトウェア』のプロトタイプでは、道路設計における現状の設計ソフトウェアで多く採用されているオープンフォーマット:LandXML形式(J-LandXML対応)を採用しています。
従来の手作業による照査に代わる『設計照査ソフトウェア』は、国土交通省の詳細設計照査要領に従った照査のうち、BIM/CIMモデルから得られる情報を活用して設計計算書などとの整合性を確認するもの(成果品の照査:下図参照)で、照査を自動で実施でき、設計エラーの解消と照査時間の短縮を同時に実現可能となります。
従来の照査方法と『設計照査ソフトウェア』により効率化を図る範囲
・ソフトウェアの特長・
道路設計において、既存の設計ソフトウェアには、一部照査機能が実装されている項目があります。そのため、開発した『設計照査ソフトウェア』のプロトタイプは、既存のソフトウェアで対応できない照査項目を抽出し、その中でも最もエラー件数が多く報告されており、現場におけるエラー解消のニーズが高い幾何構造関連の照査を対象としています。使用方法も容易で、既存の設計ソフトウェアを従来通り使用し、成果品であるLandXMLのデータを抽出。『設計照査ソフトウェア』にデータを入力すれば照査結果が出力されます。また、LandXMLから得られない条件はユーザー入力としています。
設計照査ソフトウェアのプロトタイプにおける入出力項目および照査項目
■国立大学法人東京大学大学院工学系研究科「i-Constructionシステム学」 寄付講座
i-Constructionを実践するプロフェッショナル育成するためi-Constructionシステム学を構築することを目的に建設関連5団体の寄付により2018年10月1日に設立されました。社会インフラの計画・調査段階から施工・維持管理・運用段階までのプロセスにおいて、IT、IoT、衛星測位技術、空間情報処理技術、ロボット化技術などを活用することで現場の生産性向上を図ることが可能なi-Constructionを実現するためのシステム開発を行うだけでなく、開発されたシステムの社会実装とこれを用いて新たなソリューションの創造を目指します。さらに、現場の生産性向上だけでなく、「超スマート社会:Society5.0」の実現に貢献します。
U R L : http://www.i-con.t.u-tokyo.ac.jp/
■本件に関する連絡先
八千代エンジニヤリング株式会社 経営企画部 秘書・広報課
T E L : 03-5822-2825
e-mail : yec-public-relations@yachiyo-eng.co.jp
国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 広報室
T E L : 03-5841-0235
e-mail : kouhou@pr.t.u-tokyo.ac.jp