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2026年06月12日

「吉田川大規模災害関連事業」への技術的貢献
〜遊水地の概略設計から河道計画・堤防・護岸の詳細設計まで、吉田川・善川流域の治水対策を支援〜

八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:高橋 努)が設計などの技術支援を行った、令和元年東日本台風(2019年)により甚大な浸水被害を受けた吉田川(宮城県黒川郡大郷町など)における「吉田川大規模災害関連事業」の完成式が、2026年6月6日に執り行われました。
弊社は、同事業における堤防・護岸の詳細設計、およびそれ以前の「吉田川床上浸水対策特別緊急事業」における善川遊水地の計画・概略設計から、善川における河道計画・築堤・護岸の詳細設計・高度解析業務に携わり、吉田川・善川流域の治水安全度向上に向けた技術的支援を継続的に実施してまいりました。
近年、地球温暖化に伴う水災害の激甚化・頻発化が日本各地で深刻化する中、河川単体の整備に留まらず、流域全体で安全性を高める「流域治水」の重要性が一段と高まっています。弊社は、これまでに培った河川治水の知見やBIM/CIMをはじめとする最先端のデジタル技術をさらに深化させ、今後も安全・安心な社会インフラの整備と、レジリエンスに優れた持続可能な地域社会の実現に貢献してまいります。



弊社が担当した善川の築堤と護岸の様子

弊社が担当した善川の築堤と護岸の様子



・業務の背景と目的・

鳴瀬川水系吉田川は、緩やかな勾配と、善川や竹林川といった主要支川が合流する特異な地形から、宮城県大和町などの地域では古くから深刻な洪水被害に悩まされてきました。
2015年(平成27年)9月に発生した関東・東北豪雨による大水害を契機として「吉田川床上浸水対策特別緊急事業」が立ち上がり、治水対策が本格化しました。しかし、その整備途上にあった2019年(令和元年)10月の東日本台風(台風第19号)において、計画高水位を上回る記録的な出水が発生しました。これにより宮城県大郷町粕川地区の堤防が決壊するなど、広範囲に及ぶ甚大な浸水被害が発生しました。これを受け、被災堤防の復旧と抜本的な流下能力向上を目指す「吉田川大規模災害関連事業」が追加採択され、河道掘削や引堤を含む大規模な対策が急ピッチで進められました。
そして2026年6月にすべての治水構造物が完成を迎えました。弊社は、この2つの事業において、基礎となる計画段階から最終的な詳細設計に至る計4年間に、多角的な技術アプローチを用いて支援してまいりました。


・弊社の支援内容・

弊社は、流域全体で洪水をコントロールする「流域治水」の概念も視野に入れた各種支援を行いました。具体的な技術貢献は以下のとおりです。


善川遊水地に関する支援(計画・概略設計)

遊水地候補地を比較検討し、コストと施工性の双方に優れる「上流設置案」を提案したうえで、高度な水理解析モデルを構築し、善川遊水地の効果を最大限発揮できる越流堤規模(幅・高さ)や洪水後に効率的に排水可能な樋管断面規模を適切に設計・算定しました。また、BIM/CIMモデルを活用した事業の視覚化を実施しました。善川遊水地は2023年4月に運用を開始し、治水機能を発揮しています。


善川における河道計画・築堤に関する支援(計画・概略設計・詳細設計)

河道計画は善川遊水地計画と整合を図った整備内容を検討するとともに、遊水地効果との組み合わせを考慮して、治水効果の早期発現が期待できる「河道掘削を先行させた段階整備メニュー」を提案しました。また、善川の築堤整備にあたり、既存の暫定堤防に必要とされる高さと天端幅を確保するため、「川裏側腹付け盛土」を基本とする詳細設計を実施し、周辺構造物へ安全に摺り付ける最適な堤防法線を設定しました。さらに、軟弱地盤を踏まえた圧密沈下解析や浸透流解析などの高度な地盤解析による安全性検証も多角的に実施しています。


善川における護岸・河道掘削に関する支援(詳細設計)

東日本台風(台風第19号)の災害復旧状況を踏まえた河川整備計画河道の再検討のもと、両岸3.0km範囲を対象とした護岸・河道掘削詳細設計を実施し、低水護岸や根固め工の安全性検証を行いました。また、東日本台風(台風第19号)の被害箇所では、将来の河道拡幅を見据え、手戻りのない護岸災害復旧工事図面の修正を迅速に行いました。。


BIM/CIMおよび独自システムを活用した設計DX(共通技術)

BIM/CIMモデルを用いて複雑な法面摺り付け形状の検証や干渉照査を実施し、設計手戻りを防止しました。さらに、既往調査結果などをBIM/CIMモデルへ属性情報付与ができる効率的なデータ管理システムを構築し、後工程へデータを引き継げる仕組みを提案しました。