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RECRUIT | 採用情報

PROJECT 2質の高い社会インフラ整備に向けた対応

世界の人々が安心・安全に暮らせる未来をつくるために
インドネシア国メラピ火山緊急防災プロジェクト
世界中にある多くの火山は、山麓に豊かな土壌や地下水を育み、人々の暮らしを支え、また火山特有の景観は貴重な観光資源ともなっている。一方で、ひとたび噴火が始まると、火山は人々の生命や資産を脅かす降灰、火砕流、溶岩流、土石流といった様々なハザードをもたらす。当社は、火山噴火に起因する災害を軽減するための様々なプロジェクトに1970年代から取り組んでいる。

噴火後の災害から人々を守る

インドネシア国ジャワ島のジョグジャカルタ特別州と中部ジャワ州の境界に、世界で最も活発な活火山のひとつであるメラピ火山がある。山麓には人口約300万人を擁する市街地が広がり、インドネシアの独立にも大きな役割を果たした行政・経済の中心地である古都ジョグジャカルタや、世界遺産のボロブドゥール遺跡やプランバナン遺跡が点在する。これらの地域は火山の恵みを受ける一方、火砕流や、噴火後の降雨による土石流の脅威に常にさらされてきた。


インドネシア政府は、メラピ火山周辺地域が行政・経済・文化・歴史の観点から特に重要であることから、1969年の噴火による大災害を契機として国家災害管理プログラムの最重点地域に指定し、メラピ火山砂防工事事務所を設置して火山災害対策を開始した。日本政府は、インドネシア政府からの砂防技術者の派遣要請に応え、1970年に初代の砂防専門家を派遣した。これを皮切りに今日に至るまで、国土交通省(旧建設省)、JICA・JBICなどの関係法人、日本・インドネシア両国の大学関係者および民間(コンサルタント・建設会社など)の協力のもとで、様々な技術協力や資金協力が行われてきた。当社は1985年からメラピ火山のプロジェクトに参画し、火山砂防基本計画の改定や砂防設備の計画・設計および施工監理、さらには警戒避難対策に代表される非構造物対策に携わってきた。


2010年10月26日、メラピ火山は噴火活動を開始した。結果的にこれは過去100 年間で最大規模といわれる大噴火となり、それに伴って発生した火砕流や土石流は多くの犠牲者をもたらした。この噴火によって、山麓のいくつかの河川では、土石流災害のリスクが特に高まったり、また流域の地形が変化してこれまで予想されていなかった方向に土石流が流下したりするなどの問題が生ずるようになった。このような問題に対処するため、土石流を導流・貯留するための砂防施設の施工や既存の火山砂防基本計画の改定を行うための円借款プロジェクト「メラピ山プロゴ川流域緊急防災事業(フェーズ2)」が、2015年から2021年にかけて実施された。

土石流で埋没したバス(2011年1月)

充実感と責任感が交錯するプロジェクト

本プロジェクトでは、メラピ火山地域で現在そして将来起こり得る土石流災害に対処するため、2010年噴火によって生じた地形変化を考慮して既存の火山砂防基本計画を改定し、優先して整備すべき砂防施設の予備・詳細設計を行った。また2010年噴火で高まった土石流災害リスクを軽減させるため、特に災害リスクが高い河川を対象に、土石流を捕捉・貯留するための砂防堰堤や遊砂地、土石流を安全に流下させるための放水路の設計・施工監理などを行った。さらに、建設した砂防施設が適切に維持・管理されるよう、砂防施設で捕捉された土砂の除石管理に関する検討や、現地の一般市民を対象とした砂防事業に関する普及啓発活動にも取り組んだ。


言葉にすると簡単に思えるが、言語が異なる中でコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めるのはそう簡単ではなかった。火山砂防基本計画の改定を担った西尾は、「今回初めて長期で海外プロジェクトを担当しましたが、資料作成や検討事項など現地スタッフに依頼しても遅延や資料の過不足が見られ、日本でのこれまでのやり方が現地では通用しないことを実感しました。それでも、コミュニケーションを取ることで解決できることも多かったため、まずは時間を見つけて英語やインドネシア語の勉強に励みましたね。」と話す。また、社会インフラが整っていない地域に限られた予算で効率的にインフラを整備するため、現地の地方政府からの要望をできるだけ汲み上げ、施主であるインドネシア政府と調整しながら平常時には橋や取水堰としても機能する砂防堰堤の多機能化を積極的に進めるなど、工夫しながらプロジェクトを進めた。チームリーダーの溝口は、「要望に応じた砂防堰堤の多機能化にあたっては、短期間で設計変更に対応するなどの苦労もありましたが、普通は災害時にしかその機能を発揮しない砂防施設が平常時にも市民に活用されている様子を見ると、努力してよかったと実感します。」と語る。

完成したゲンドール川の遊砂地

時代変化に応じた提案を

1970年代から続くメラピ火山の砂防事業では、かつては限られた予算で多くの砂防施設を建設することが求められ、現地の人々の雇用確保が重視され、また使用できる重機の種類も限られていたため、砂防施設の建設には材料費が安く、施工に多くの人手が必要な練石積や現場練りコンクリートが用いられていた。しかし、インドネシアの経済発展に伴い、コストがかかっても強度の高い構造物を、という要請が高まり、2010年の噴火以降はレディミクストコンクリート(サプライヤーが工場であらかじめ材料を練り混ぜたコンクリート)が多用されるようになっている。「私はメラピ火山のプロジェクトに2006年から携わっていますが、社会情勢に応じて砂防施設を建設する材料が変化してきたように、時代とともに我々開発コンサルタントに求められることも変化していると感じます。」と溝口はいう。


そのため私たちは常に世界にアンテナを張り、対象国の経済状態や社会情勢を考慮しながら、施主、自治体および周辺住民のニーズを汲み取って適切な解を提案していく。

MEMBER

M.Mizoguchi 国土保全

コンサルタント(官公庁・海外)

Y.Nishio 国土保全

コンサルタント(官公庁・国内)

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