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2018年、私たちは「この世界に、新しい解を。」をビジョンとして掲げ、総合建設コンサルタントとしてのプレゼンスを維持しながら、保有リソースを生かし、民間市場への積極的展開を図る「長期経営方針(2018-2027年)」をスタートさせました。
日本、そして世界に目を向けると、ますます深刻化する「地球環境問題」、国内人口の減少や途上国・新興国での人口急増といった世界規模の「人口問題」など、重大な社会課題がいよいよ差し迫っています。さらに国内では、頻発する地震や災害に向けた「防災・減災・国土強靭化」への対応など、私たち総合建設コンサルタントが果たすべき役割はこれまで以上に大きくなりました。
当社はこれまで、事業を通じてさまざまな社会課題の解決に取り組んできました。第2次中期経営計画では、社会課題をリスクではなく機会と捉え、その解決と企業としての持続的な成⻑の両立を実践しながら社会に貢献していく「サステナビリティ経営」を掲げ、推進しています。
2023年、世界の気温は「過去12.5万年で最も暑かった」とされ、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と述べています。こうした気候変動に伴い必要になるのは、水災害を軽減するための流域治水やグリーンインフラ、災害による交通障害回避のためのリダンダンシーの確保、生態系への影響緩和策、さらにはカーボンニュートラルやエネルギーに関わるGXなどの気候変動緩和策であり、これらは私たちの事業と直結するものです。
また国内で進む人口減少は、産業構造の変革とともに公共インフラの維持管理やマネジメント領域を拡大し、担い手不足を補強するDX、スマートシティや地方創生などの施策とも密接に関係します。一方、途上国・新興国の人口爆発は、新規インフラの整備や防災対策のニーズの高まりを後押しすることになるでしょう。
このように「地球環境問題」と「人口問題」は私たちの事業領域と密接に関わるものです。社会の基盤となる社会資本や自然資本を熟知し、開発や整備をしてきた私たちのノウハウと技術力で未来を見据えた課題解決を図り、こうした社会課題に真摯に対峙してまいります。
2024年7月始動の第3次中期経営計画は、長期経営方針の「成長拡大期」と位置付けており、「成長の加速」をコンセプトとして、成果の達成と拡大のスピードを上げていきます。
「成長の加速」に必要なものは2つあると考えます。1つ目は「人材」の成長です。当社の事業基盤は人材であり、人材の充実なしには会社の成長は考えられません。人材価値の最大化という視点から、社員の能力・スキルの強化に向けた積極投資や、コーポレートDXのさらなる推進により働き方の変革を推進しています。具体的には、ワークフローをはじめとした業務のプロセス改革と効率的なシステムの導入、さらに当社独自の生成AIシステム開発とその試行運用、全社員のデジタルスキル向上を目的としたリスキリング・プログラムを展開しています。また働きがいの創出として、育児・介護に伴う在宅勤務の拡大ならびに地域限定社員制度を新設しました。引き続き、社員一人一人の成長の機会と環境を提供していきます。2つ目は「事業」の成長です。2023年は(株)平成測量との業務資本提携、共同出資によるプラナス・エンジニアリング(株)とインドネシアのPT. Infra Hijau Arkipelagoの2つの新会社を設立しました。
6年前に新規事業として起ち上げたクラウド設備保全システムMENTENAは、総合建設コンサルタントだからこそ分かる問題点に適応するためのきめ細やかなカスタマイズと真摯な対応が実を結び、設備保全システムの業界シェアにおいても14%とトップシェアにせまる勢いです。また、次世代高圧ガス容器CubiTan®を活用したインドネシアでのスマートガスネットワーク構想は、今後の展開に期待が持てる段階にまできています。
生成AIに代表されるデジタル技術の進歩は目を見張るものがあり、土木や社会資本整備においてもデジタル技術の活用は生産性や精度の向上など、多くの進化とスピード化を遂げています。一方で、デジタル技術がすべての課題を解決するわけではありません。アウトプットの価値判断や複合的問題の解決、プロジェクトのマネジメントなどは人が主体的に行う必要があります。このような「デジタル活用能力」と「問題解決能力」が同時に問われるこの世界において、私たち総合建設コンサルタントが社会課題の中心に立ち、産学官の連携や世界をつないでいく役割は重要です。その根幹には、ステークホルダーや社会と同じ価値観を持ち、共有する「信頼」が必要です。そしてステークホルダーの皆さまの「期待値を超える」ことを目標に、一人一人が能力や知見を高めていくことで社会的な信頼を築いていけるよう、私たちは成長への歩みを止めません。サステナブルな社会の実現に向け、これまで培ってきた技術や知見をさらに磨き、社会課題の解決に貢献してまいります。
2024年9月
代表取締役社長執行役員