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60周年カウントダウン すべての生物が暮らしやすい未来のために「沖縄県マングース対策事業」

すべての生物が暮らしやすい未来のために
「沖縄県マングース対策事業」

沖縄本島北部に広がる大自然「山原(やんばる)」。北緯27度に位置する亜熱帯照葉樹林の森は世界的にも数少なく、多くの希少動植物が生息する「奇跡の森」と呼ばれています。2021年7月にはユネスコ世界自然遺産として登録され、世界でも有数の自然地として注目を集めています。


1910年、ハブ等を退治するために沖縄本島南部に十数頭のフイリマングース(以下「マングース」という)が放たれました。新鋭として期待された彼らは個体数を増やしながら北部まで分布を拡げ、生息数3万頭とまで推測されましたが、後の調査でハブを食べている個体は殆どおらず、天然記念物ヤンバルクイナ等の希少生物を捕食していたことが明らかになりました。爆発的に個体数を増やした結果、生態系に深刻な影響を及ぼす存在として、マングースは特定外来生物に指定されました。

沖縄県は2000年、環境省は2001年から本格的なマングース対策事業を開始。本業務ではやんばるの希少な野生生物の保護、豊かな生態系の保全を図るため、16年間に渡りマングースの防除(わなによる捕獲・排除)と、防除の成果を評価するための希少種の回復状況の調査等を行ってきました。また、やんばるへのマングース侵入を防ぐ北上防止柵を設置することで柵北側での集中捕獲を可能にし、新規わなの開発や探索犬による効率的な捕獲も行ってきました。

その結果、2010年頃からマングース捕獲数は激減、ヤンバルクイナ等在来生物の生息は回復傾向にあり、現在、沖縄県と環境省は2026年度末までのやんばる地域からのマングース完全排除を目指しています。


本業務が開始される4月、「御願(うがん)」という人間の都合で奪われる尊い命の供養を目的とした儀式が行われます。命を扱う問題に正解はなく、様々な立場や価値観により受け止め方は異なります。ただ、誰がこの環境を作ったのか、それは紛れもなく私たち人間です。その責任を果たすためにも、すべての生物が暮らしやすい未来のために外来種問題と向き合い、未来へ教訓を残すことが我々の使命ではないでしょうか。

場所:沖縄本島北部やんばる地域

業務期間:2004年~2020



60周年まであと447日(2021年11月8日公開)

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