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古くから水都と呼ばれ、多くの河川に恵まれて発展してきた大阪ですが、西 大阪地域はその地形的条件から高潮の影響を受けやすく、過去に何度も大 きな被害に見舞われてきました。1965年、第二室戸台風による浸水被害を 契機として防潮対策事業が策定され、同年7月、当社を含めた建設コンサル タント3社による設計協議が行われました。
安治川は地盤が軟弱です。また通航船舶が極めて多く、橋は少なくとも高さ 20mの空間を必要としました。そこで当社は、これらの条件を満たすアーチ 型ゲートを提案しました。3社の案が比較検討され、構造上および経済上の 点で当社の提案したアーチ型ゲートが最もすぐれた案として採用されるこ とになりました。また、当社は、アーチ形状に作用する波圧の水理模型実験 やゲート全開時における安定性を確保するための高潮時波圧分布・耐風・ 耐震などを実験し、これらの結果を実施設計の中に組み込みました。この実 績を礎として、当社は安治川に続き、市街地から大阪湾にそそぐ木津川、尻 無川の大阪3大防潮水門の実施計画、実施設計など、一連の高潮対策関連 の業務を受注することができました。これらの業務は国内における高潮対 策業務の先駆けであり、日本で最初にできたアーチ型の水門となりました。 2018年に発生した台風21号は、第二室戸台風を上回る最高潮位を記録し たものの、水門の閉鎖などの確実な対策により、市街地への高潮被害はあ りませんでした。
現在、安治川水門では老朽化による改築を2034年度の完成に向けて進めています。 今回、当社はデザインを担当しており、水都大阪の大手門にふさわしいデザインとしています。
50年以上にわたり大阪府民の命を守り続けている水門を誇りに思うととも に、今後も発生する災害に対応していくため、これからも知恵と技術を高め ていきます。
場所:大阪府大阪市
期間:1966年~1970年、2021年~2023年
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