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プレイバック60周年「東日本大震災復旧工事「白浜地区海岸復旧」」

東日本大震災復旧工事「白浜地区海岸復旧」

宮城県石巻市北東部に位置する白浜地区は、2011年3月11日の東日本大震災で大きな被害を受けました。北上川の河口と太平洋を臨む白浜地区海岸の白浜海水浴場は、震災前はその名の通り白い砂浜が広がり、年間1万人以上の海水浴客で賑わう地域の観光・レジャーの拠点でした。震災によりこの地区一帯にあった家屋は全壊、流出し、白浜海水浴場は壊滅しました。
当社は東日本大震災から1カ月足らずの4月4日に現地に入り、災害調査業務を開始しました。地震や津波がまたいつ発生するか分からない状況の中、まずは復旧の観点で、被災状況調査から災害査定、復旧予算の算出など、スピード感を持って対応していきました。震災のがれきが残る中で、設計をしながら工事を進めていくという状況でした。
白浜地区海岸には、コストや景観、及び施工性にも配慮した「粘り強い堤防」を適用しました。「粘り強い堤防」は、越水しても決壊しない堤防ではなく、越水した場合でも決壊しにくく、堤防が決壊する時間を少しでも長くし、避難の時間を確保する「減災」の概念です。堤防の施設延長約1.3kmのうち、砂浜を確保するために堤防を引堤する傾斜堤区間と、背後の市道を考慮した直立堤区間に設定しました。傾斜堤区間では、地下水が高いことが判明し、基礎構造の変更などの対策が必要になりました。さらに震災の影響によって海底の地盤変動が生じ、想定外の海底地盤の変位や砂浜の消失が発生している状況で、都度設計の変更や対策の検討・実施を行いながら工事が進められていきました。
最初の現地への乗り込みから10年、設計通りの堤防が完成しました。2018年には震災以降休止していた白浜海水浴場が8年ぶりに再開、今では堤防の後背地にキャンプやバーベキューが楽しめる白浜ビーチパークが整備され、新たな地域の観光・レジャーの拠点になっています。
首都直下地震や南海トラフ地震など、日本では30年以内に70%の確率で大規模地震の発生が想定されています。私たちは、東日本大震災という未曽有の大災害で培った経験と知見、そして何よりスピード感ある対応を今後に生かし、安心と安全を社会に提供してまいります。


場所:宮城県石巻市白浜地区海岸

期間:2011年~2016年


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