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2021年12月24日

洪水時の救世主⁉業界初の「予測学習」(※)を導入し、 ダムの流入量の予測精度向上!
~6時間先のダム流入量予測の劇的な精度向上を実現~

八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:出水重光)は、「ダム流入量の予測学習システム」を開発しました。本システムは、近年の激甚化する大雨等の際、水害軽減に役立つダム流入量予測の精度向上を実現したものです。
※「予測学習」(predictive learning):モデルが計算した予測値と実測値との差を学習し、予測精度を上げるアプローチ。



■開発の背景

近年、気候変動の影響により、洪水の被害は激甚化しています。
ダムにおいては、近年想定を上回る豪雨により異常洪水時防災操作(緊急放流)を行わなければならない場合も増えてきていますが、緊急放流では下流域の住民の避難時間を確保するためにも十分なリードタイム確保が必要です。
一方、「ダム流入量の予測システム」と類似した河川水位の予測システムに関しては、国交省が2021年6月から国管理の洪水予報河川において、6時間先までの予測水位の提供を始めました。



■「ダム流入量の予測学習システム」について

「ダム流入量の予測学習システム」は、従来の現象再現性を追求した「観測データ」から構築する予測システムとは異なり、運用時の予測精度向上を追求した「予測データ」から構築する予測システムです。

深層学習モデルを活用することで、未来の不確実性を持つ「予測データ」からダム管理に扱える確実性の高いダム流入量へと変換しています。



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予測学習の概念図



予測データで予測モデルを確立する方法は、業界初の技術となり、従来とは全く異なる予測フレームワークにより、6時間先のダム流入量予測の劇的な精度向上を実現しています。



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<本システムの特徴>

予測学習

従来の予測モデルは、これまで経験してきた既往雨量に対してモデルを構築し、運用時は予測雨量を使っています。しかし、気候変動の影響も考慮するとこれまで経験したことのない雨量に対して実測値(既往雨量)ベースのモデル構築では限界があります。モデル構築時と運用時でデータ環境格差をなくし、予測雨量に内包される不確実性を学習(「予測学習」と定義)することで、予測精度を確保しています。


小流域でも6時間先予測を実現

本システムはダム流域最上流端に降った雨がダム地点に到達するまでの時間(洪水到達時間)が1時間未満の小さな流域についても、精度の高い6時間先の流入量の予測精度を実現しています。今まで、洪水警戒体制のタイミングに十分なリードタイムが確保できなかった小流域においても予測が可能になりました。


導入も容易

本システムは、通常的に計測しているダムの観測流量、水位データがあればすぐにモデルを構築でき、導入時のイニシャルコストや工数のハードルが低いことが特徴です。



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ダム流入量の予測学習システムの内容と予測結果



高い予測精度のシステムを活用することで、ダム貯水池の効果を最大限に活用し、気候変動による下流域の浸水被害軽減を実現することになります。また、ダム自体の安全性を高めると共にダム管理者の負担軽減にも繋がります。

本システムは、ダム管理者等のパブリックセクターの導入をはじめとして、気候変動による降雨環境の変化による対策を行う民間企業への活用も見込んでいます。



なお、「ダム流入量の予測学習システム」は特許出願中(特願2021-200216)の技術となります。