八千代エンジニヤリング株式会社（本店：東京都台東区、代表取締役社長執行役員：高橋 努）が支援を行った沖縄都市モノレール「ゆいレール」が2003年8月10日の開業から、明日で20周年を迎えます。そして利用者増加による混雑解消を目指し、3両化車両の運行がスタートします。
開業以前の沖縄県には鉄道などの軌道系型交通システムがなく、約8割が自動車利用による移動手段に依存し、当時から現在にわたって慢性的な交通渋滞が社会問題となっています。
そこで、沖縄の交通渋滞を緩和を目的に2003年沖縄都市モノレール「ゆいレール」は那覇空港駅―首里駅間の約14駅で開業されました。2019年10月には首里駅―てだこ浦西駅間の延長がなされ、2022年には1600万人が利用するなど観光や地域住民に愛されています。
当社はこれまで半数以上の駅舎、一部の橋脚の設計・工事監理を行うとともに、2019年の延長の際には最大の難所と言われたトンネル部の設計などを行っております。また、近年にわたって維持管理の支援を行うとともに、3両化車両の運行のための駅舎の改修設計、工事監理も実施しております。

沖縄都市モノレール「ゆいレール」についての詳細はこちら　https://www.yui-rail.co.jp/

■弊社支援内容

弊社は、2003年の開通および2019年の延長、そして現在にわたって支援を実施しております。

2003年：開業時の支援

全14駅の規模､施設内の配置の計画変更および自由通路計画の検討を行うとともに、相対式､島式の各駅形式についてホーム､コンコース、各施設の規模の検討を実施しました。さらに、施工認可申請に必要な書面作成も行いました。
駅舎の設計として、赤嶺駅、小禄駅、壷川駅、旭橋駅、美栄橋駅、牧志駅、おもろまち駅、儀保駅を担当し、将来的に4両編成に対応できるように設計を実施しています。設計したすべての駅で工事監理も実施。さらに、沖縄県道82号那覇糸満線沿いの一部区間においての橋脚、鋼軌道桁の設計も行っています。

2019年：延長時の支援と現在の支援

2019年の延長にあたって、最大の難所と言われたトンネル部（浦添前田駅―てだこ浦西駅間595ｍ）の地下構造物（トンネル）設計を実施しました。施工法の検討により、工期短縮、コスト低減効果の最も高いNATM工法（山岳トンネル工法）を提案し実現しています。また、浦添前田駅とトンネル間の都市計画道路である城間前田線の一部区間でＲＣ橋脚の設計も実施しています。
駅舎の設計としては石嶺駅、最終駅のてだこ浦西駅を担当し、工事監理も実施しています。
近年では、延長区間も含めた長寿命化修繕計画検討などでも支援を実施しています。今回の3両化車両の運行にあたっても、駅舎の改修設計や工事監理を実施しており、開業時から現在にわたって継続的な支援を実施しています。

■弊社担当者からのコメント

開業20周年おめでとうございます。
沖縄は高温多湿であり、また塩分を多く含む風が吹くことが多い気候であるため、錆に対する対策が非常に重要でした。駅舎は半屋外的雰囲気となる部分が多く、塩分が雨水で流されない状況となることから錆に対して最も過酷な条件となります。
その対策としてアルミやステンレスまた高性能の塗料など錆びにくい材料を用いることはもちろんですが、延長駅舎では先行開業した駅舎での経験も踏まえコストを抑えるための方策として、材料だけでなく錆びにくいデザインやディテールについても設計時に十分検討してまいりました。これにより維持管理においてより優れたものが実現できたと思っております。
ゆいレールも20歳になり、これからは立派な成人として独り立ちし、沖縄の発展に益々寄与出来るものと確信しております。

八千代エンジニヤリング　建築部　田村 和浩

開業20周年おめでとうございます。
私は、主に延長区間のトンネル設計を担当しましたが、プロポの受注後、業務に携わった当初から感じたのは県職員の方々の延長事業に対する並々ならぬ意欲でした。モノレール初のNATM工法※によるトンネル設計であり、避難路を含めた内空断面の決定や、島尻泥岩内を低土被り・急勾配で計画するなど多くの課題がありましたが、有識者ヒアリングや関係機関協議に奔走いただき、手を携えて良い成果を得ることができたと思っております。
この度、開業20周年を迎えましたが、今後も"ゆいレール"が沖縄のシンボルとして、県の益々の発展に寄与していくことを願っております。
※NATM工法：新オーストリアトンネル工法。山岳部におけるトンネル工法のひとつ。

八千代エンジニヤリング　都市・地下空間部　金井 和彦