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江の川の河川環境を定量評価へ 環境DNAを活用した持続可能な生態系モニタリング
実績

川の水だけで生息する生物を特定

環境DNAを活用した
持続可能な生態系モニタリングで
江の川の河川環境を定量評価

# 官公庁のお客様 # 国内 # 環境DNA # 生物多様性 # 河川

江の川の豊かな生態系を守る
「定量化」への挑戦

広島県を源流とし、島根県を流れる中国地方最大の一級河川「江の川(ごうのかわ) 」では、近年の気候変動に伴う降雨量の増加などが課題となっています。これを受け、国土交通省 中国地方整備局では、安全で自然豊かな河川環境の整備を目指し、河川整備基本方針の見直しを進めています。この方針改定に際し、私たちは策定前における江の川の生態調査を実施しています。整備の実施後にその効果を正しく検証するためには、整備前のデータと継続的に比較し、適切な効果検証や計画の改善を行う必要があるためです。そのため、生物の生息環境やその変化を継続的に調査・監視する「生態系モニタリング(※1)」が不可欠となっています。
当社は、治水対策と河川の豊かな生態系保全を両立させるため、河川環境の整備目標を「定量化(数値化)」することに取り組みました。その定量的な評価を実現するため、最先端の「環境DNA」技術を活用しています。


※1 生態系モニタリング:生物の生息環境やその変化を、継続的に調査・監視すること。

  • 多様な生物が生息する江の川

従来調査の課題を克服する
環境DNAによる持続可能なモニタリング

これまで河川の生態系や整備効果を検証するために行われてきた、網などによる捕獲や長時間の目視観察を主流とする生物調査には、以下のような多くの課題がありました。


高いコスト :多大な人的・時間的コストを要する

確認の限界 :夜行性や生息個体数が少ない種の把握が困難

生物への影響:捕獲による個体への負荷

手続きの負担:「特別採捕許可」や「鳥獣捕獲許可」といった法的手続きに時間や手間がかかる


これらの課題を解決するため、当社は生物調査に最先端の「環境DNA」を活用した調査方法を導入しました。 環境DNAを活用した調査とは、採取した川の水からDNAを検出し、生息する生物種を特定する先進的な手法です。網で捕獲するなどの大がかりな作業を行わなくても、川の水に含まれる生物のふんや皮膚から剥がれ落ちたDNAを検出することで、そこに生息する生物種を幅広く把握することができます。「水をくむ」だけの作業であるため、現場作業や法的手続きの負担を大幅に軽減できます。さらに、生物を傷つけず、調査員の熟練度に依存しない「客観的で安定した精度のデータ」が得られる点も大きな強みです。
環境DNAを用いた解析には、生息種を幅広く把握する「網羅的解析」と、特定種(オオサンショウウオやオオクチバスなど)の分布を捉える「種特異的解析」の2種類があります。本プロジェクトでは、まずは対象河川の生物相(全体像)を広く把握し、環境DNAによってどのような生物が検出可能かを検証するため、「網羅的解析」を採用しました。
網羅的解析は魚類が先行して適応されていますが、近年では両生類や鳥類、哺乳類などを対象としたプライマー(※2)の開発・研究も急速に進んでおり、河川全体の生態系をより詳しく把握できるようになっています。このように、環境DNA技術を導入した定量化への新しいアプローチによって、治水対策と豊かな生態系保全の両立を目指しています。


※2 プライマー:特定の生物のDNAを検出するための「目印」となる短い人工的な遺伝子の配列


※2026年7月時点の情報です

  • 採取した水に保存剤を添加してDNAを固定する様子

  • PCR増幅器:DNAを短時間で数百万〜数十億倍に増幅する装置

プロジェクト詳細

    業務名 :令和7年度江の川河川環境整備検討業務
    発注者名:国土交通省 中国地方整備局 三次河川国道事務所