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高度な防災機能と地域の賑わいを両立する「由良川防災ステーション」の計画・設計
実績

災害時は迅速な盾となり、平時は学びの場となる

高度な防災機能と
地域の賑わいを両立する
「由良川防災ステーション」の
計画・設計

# 官公庁のお客様 # 国内 # 河川 # 防災危機管理 # 国土保全 # インフラ整備 # まちづくり

地域の防災拠点整備と4つの使命

京都府北部を流れる由良川の流域では、2013年9月の台風第18号や2014年8月の集中豪雨で甚大な浸水被害が発生しました。これを受け、水害リスクを早期に軽減するための「由良川緊急治水対策」が国や自治体の連携のもと推進され、大規模な出水(※1)への危機管理対策が急務となりました。由良川流域には、洪水時に下流地域で一部の集落が孤立してしまうリスクや、中流地域の密集市街地が浸水しやすいといった地理的な課題が存在します。これらを解消する地域の防災拠点として「由良川防災ステーション」の整備が計画されました。河川防災ステーションは、洪水時は水防活動や緊急対応の拠点、平時は地域活性化や交流の場として活用され、「地域防災力×地域づくり」を一体で進める役割を担います。

この地域防災の要となる施設の実現に向け、当社は以下の4つのミッションを遂行しました。

1. 施設の基本・詳細設計:堤防が決壊した際などの復旧作業に必要な備蓄資材やヘリポートなどの適切な配置計画、地盤の安定性を考慮した基盤設計、および災害対策車格納庫の施設規模の設定と周辺環境になじむ建物の意匠設計(デザイン)の実施。

2. 既存インフラの機能を維持する計画の立案:農業用水路や道路など周辺インフラが、現在の機能を損なわない付け替えや切り回し(※2)の計画。

3. 周辺構造物への影響評価:隣接する水田の洪水調節機能や由良川の流況への影響評価、由良川防災ステーションへの進入路となる戸田橋取付部の築堤修正設計の実施。

4. 他事業と連携した計画立案:当ステーション周辺で別途計画されている堤防整備事業について、対岸地区で実施されている別事業を考慮した最適な堤防整備スケジュールの立案。


※1 出水:大雨などにより河川の水量が増加すること。

※2 切り回し:工事などに伴い、道路や水路などの経路を一時的または恒久的に変更すること。

  • 由良川河川防災ステーションの概要

  • 由良川河川防災ステーション パース(平時)

  • 由良川河川防災ステーション パース(洪水時)

周辺インフラに配慮した最適な設計

設計においての課題は、計画地がもともと「調整池(※3)」であるという点で、河川防災ステーションの建設で調整池の容量が減り、本来の洪水調節機能が低下してしまう懸念がありました。そこで、下流への許容放流量などの基本条件は維持しつつ、オリフィス(※4)や越流堰(※5)の形状や高さを変更することで洪水調節機能を確保しました。これにより、調整池が持つ本来の洪水調節機能を維持しました。
また、大型車両による資機材の搬出入や日々の維持管理を考慮し、坂路や管理用通路の線形(ルートの形状)を丁寧に比較検討することで、通行のしやすさと用地活用の両立を図りました。
このように周辺インフラとの緻密な調整を重ねた結果、水防センター、災害対策車格納庫、ヘリポート、土砂やブロックを備蓄する非常用ヤードの最適な施設配置を確立しました。洪水で一般道路が寸断された場合でも、堤防天端(※6)道路をルートとして活用し、各所への迅速な資機材供給や水防・救急活動が可能となり、流域全体の危機管理能力が大幅に向上します。

由良川防災ステーションは2021年7月に供用開始されました。当施設は、全長56.4kmの直轄管理区間において、通常の洪水時には現場での水防活動の要(水系の中核施設)となり、万が一事務所が被災した場合は災害対策本部機能を引き継ぐセーフティネット(バックアップ拠点)としての役割を果たすとともに、平時には防災学習の場として活用されることが期待されています。


※3 調整池:大雨の際に周辺の雨水のみを一時的にためて、河川への急激な流出を抑え洪水を防ぐために設けられた池。

※4 オリフィス:水などの流量を制御・調節するために設けられた流出口。

※5 越流堰:一定の水位に達した水が、それ以上あふれないよう安全に外へ流れ出るように設置された堰。

※6 堤防天端:堤防の一番上の平らな部分。


※2026年7月時点の情報です

  • 配備している資機材(根固めブロック)

  • 配備している資機材(備蓄土砂)

プロジェクト詳細

    業務名 :平成27年度由良川防災拠点設計業務
    発注者名:国土交通省近畿地方整備局福知山河川国道事務所