みどりの価値を“見える化”し、市民に届ける
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みどりの価値を“見える化”し、市民に届ける
昨今、SDGsの実現やグリーンインフラ(※1)の推進に伴い、都市における樹木の価値があらためて見直されています。公園樹や街路樹は多様な環境・防災機能を持つ一方、近年は落葉や倒木などの課題に目が向けられがちであり、その価値を定量的に評価して市民にわかりやすく伝えることが課題となっていました。 また、自治体の行政サービスにおいてもDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されており、大阪市でも行政サービスの向上と業務の効率化を図るためのDX戦略が進められています。
そこで当社は、大阪市のメインストリートである「御堂筋」を彩るイチョウ並木(約4.2km、計877本)を対象に、都市樹木が有する機能・価値を貨幣価値として可視化し、市民や事業者へ効果的に発信するためのデジタルデータを整備するプロジェクトに取り組みました。
※1 グリーンインフラ:自然環境が持つ多様な機能を、防災や地域創生などの社会課題の解決に活用する取り組み。
イチョウの樹木の目視調査
都市樹木の価値を定量的に評価するために、樹木評価ツール「i-Tree(※2)」を活用しました。解析には詳細な樹木データが必要となるため、現地調査を実施。胸高直径や樹高といった基礎データに加え、目視による樹木の衰退度診断に基づく樹勢や樹形など、個々の樹木の健康状態を詳細に把握・整理しました。
次に、取得した樹木データと日本の気象データなどを用いて解析を行い、「炭素貯留・固定量」「大気汚染物質除去」「雨水流出量削減」などの項目について、具体的な効果を物理量と貨幣価値で算出しました。その結果、樹木がCO₂を吸収し固定する炭素量は1年間で約5トン、1年間で除去される大気汚染物質除去量は、二酸化窒素は35.6kg、二酸化硫黄は4.87kg、PM2.5は6.93kgであることが推定されました。また、参考値として御堂筋のイチョウ並木が持つ貨幣価値は年間数億円規模という非常に大きな経済的価値を生み出していることも確認されました。
さらに、算出した専門的な数値を一般市民に直感的に理解してもらうため、効果を身近な指標に換算し、視覚的に伝える発信手法を考案しました。例えば、「炭素固定量」を「自家用車での大阪~東京間の往復距離」に置き換えたり、「雨水流出削減量」を「お風呂の杯数」としてイラスト化するなど、親しみやすい形で表現する工夫を行いました。
今回の取り組みにより得られた樹木の基本情報や魅力情報のデジタルデータは、大阪市の市民向け地理情報システム(GIS)「マップナビおおさか」などでの情報発信に活用されており、DX推進による市民サービスの向上とともに、都市のみどりに対する市民の関心や保全意識の醸成に貢献しています。
※2 i-Tree:CO₂の固定量や大気汚染物質の除去量など、樹木の持つ多様な機能や価値を量で示すことができ、世界40カ国以上で利用されている国際的な樹木評価ツール。
※2026年7月時点の情報です
樹木がもたらす効果の可視化の提案例
プロジェクト詳細
業務名 :都市樹木の価値の可視化及び効果的な情報発信に係る検討業務委託
発注者名:大阪市建設局 公園緑化部 緑化課