Menu
2026年10月01日
八千代エンジニヤリング株式会社(本店:東京都台東区、代表取締役社長執行役員:高橋 努)が、調査、設計、施工計画、環境保全などの各種コンサルティング業務を実施している鵜川ダム(新潟県)において、2026年10月1日より試験湛水が開始されました。
今回実施される「試験湛水」は、ダムの本格的な運用開始を前に、実際に最高水位まで貯水を行ったのち通常の運用水位まで低下させながら、ダム本体や基礎地盤などの安全性を最終確認する重要な工程です。試験湛水完了を経て、地域の安全・安心を守る治水ダムとしての機能が発揮されることとなります。長年培った確かな技術力を結集し、試験湛水の円滑な推進と鵜川ダムの完成に向けて引き続き支援を行ってまいります。
▶ 鵜川ダムの詳細はこちら(新潟県のWEBページに遷移します)
建設中の鵜川ダム(新潟県柏崎地域振興局提供)
・鵜川ダム整備の背景と目的・
新潟県柏崎市を流れる二級河川・鵜川は、過去に何度も氾濫を繰り返し、周辺地域に甚大な浸水被害をもたらしてきました。特に1978年の梅雨前線豪雨では、柏崎駅の機能が1週間も停止するなどの甚大な被害が発生し、平成に入ってからも2005年の豪雨など、幾度となく被害に見舞われています。また、1994年には深刻な水不足による渇水被害も経験しています。
鵜川ダムは、これらの水害による被害の軽減と、渇水時の河川環境維持を目的として建設されている、堤高55.0mの中央コア型ロックフィルダムとなります。
・鵜川ダム整備における当社の支援内容・
当社は、今回の試験湛水に向けた詳細計画の策定や各種埋設計器による堤体挙動の解析・安全性検証をはじめ、1990年代の計画初期段階から今日に至るまで、30年以上にわたり鵜川ダム建設事業に対して多角的な技術支援を実施してまいりました。土木、地質、環境など各分野の専門技術を融合させ、安全で環境に配慮した鵜川ダム整備を総合的に推進しています。
1. ダム本体および関連施設の設計と施工計画の立案
ダムの基本設計から実施設計までを担い、堤体はもとより洪水吐き、取水放流設備など主要構造物の設計を行いました。また、複雑な地質条件に対応するための基礎掘削計画をはじめ、近傍の原石山から採取された堤体材料および盛立後の品質評価、大規模なコンクリート打設における温度応力解析(ひび割れ対策)、試験湛水用ゲートの設計や仮排水トンネル閉塞計画の立案など、施工段階における技術的課題の解決を支援しています。さらに、経済性と安全性を両立する施工計画の策定や、工事用道路の設計など、建設工事全体を円滑に進めるための基盤づくりに寄与しました。
2. 複雑な地質・岩盤の解析と確実な基礎処理(遮水)の実現
鵜川ダム建設地域の複雑な地質構造に対して地質を細かく区分した高度な地質解析を行い、施工時には掘削面で詳細な岩盤スケッチを実施しました。これらの知見をもとに、ダムの安全性を左右する「基礎処理工(グラウチング)」の注入仕様や施工計画を最適化し、膨大な施工データの解析を通じて、確実な遮水性が確保されていることを確認しています。また、貯水池周辺の地すべり観測や耐震性能の照査など、多角的な安全評価を行っています。
3. 生態系に配慮した環境影響評価と実践的な保全措置
ダム建設が周辺の豊かな自然環境に与える影響を予測・評価し、継続的な環境調査に基づいた保全措置を行っています。具体的には、最新の環境DNA分析を用いた希少魚類の生息域把握と移動・放流、希少植物の移植と生育モニタリング、希少猛禽類の繁殖状況の確認などを実施しました。さらに、ダム下流の河川環境を守るための水温観測や、水生植物、水生昆虫、両生類の保全のためのビオトープの整備など、生態系保全に長期的な視点で取り組んでいます。